2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K12201
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
武田 道子 四国大学, 看護学部, 教授 (40552097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 久美子 宮城大学, 看護学群(部), 教授 (80310150)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 災害時健康 / 地域共助 / 評価尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、災害時健康を守る地域共助力の尺度開発をすることを目的とする。作成された尺度は、防災行政担当者や地域防災リーダーが、担当する地域の災害時健康を守る地域共助力を評価するために用いて、その評価に基づいた防災教育や具体的な防災活動を計画実施することに役立つと考えている。 本年度の研究実績は以下のとおりである。①評価尺度項目を抽出するため、追加調査した。1自主防災組織の会長1名および会員約120名のデータを追加入力した。前年度学会発表したデータに加えて、再度統計的な分析をした結果、先に得られた知見以外に新たな知見は得られなかった。②日本災害看護学会、日本災害看護学会主催セミナーおよび日本地域看護学会主催セミナーに参加し、災害関係の知見や研究データ分析方法等の新たな知見を得た。③研究者間会議を、11月と1月と3月の3回実施した。その間はメールと郵送により情報と意見の交換を実施した。このことによって、評価尺度項目の最終案を作成した。評価尺度項目の下位尺度のイメージとして、災害時健康を守る知識・技術、災害に対する危機意識、災害への備え行動およびソーシャルネットワークの4領域で構成することとした。本調査の対象は防災担当者または地域防災リーダーとする予定であったが、自主防災組織会員とするよう変更した。先行調査結果から、防災担当者等に対しての具体的で明確な調査項目を抽出できなかったことから、自主防災組織会員個人への調査項目が測定に向いていると考えたためである。④専門家会議のメンバーは、災害看護学研究をしている大学教員2名、防災工学研究や防災社会学研究をしている大学教員2名、公衆衛生の専門家等2名の計6名で構成することとしている。災害看護学研究の研究者2名と、防災工学研究や防災社会学研究をしている大学教員2名には、学会やイベント参加時に協力依頼をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、追加調査、試作版質問紙項目の完成、内容の妥当性を検討するための専門家会議の開催およびパイロットスタディの実施を計画していた。追加調査は本年度分を加えたデータの分析で新たな知見が得られなかったことから、実施しなかった。試作版質問紙項目については研究者間会議における検討およびメールのやり取りによってほぼ完成した。構成は、これまでの調査結果を参考にし、災害時健康を守る知識・技術、災害に対する危機意識、災害への備え行動およびソーシャルネットワークの4領域とした。専門家会議は開催できていない。専門家会議のメンバーとして、防災工学研究や防災社会学研究をしている大学教員2名の選定および災害看護学研究をしている大学教員2名の選定はできたが、公衆衛生の専門家等についての選定ができていない現状であるため、早急に選定を進め、専門家会議を開催する予定である。試作版質問紙項目の内容の妥当性を検討するためのパイロットスタディの対象は、先行調査結果から、自主防災組織の会員にすることとした。今後、被災していない地域の市町村に研究の目的や方法等を口頭および文書で説明して協力を依頼し、防災担当者から自主防災組織を紹介してもらい、実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、専門家会議を開催し、パイロットスタディに用いるための質問紙項目を作成する。開催にあたり選定した専門家会議の6名のメンバーに、口頭および文書によって研究の目的や方法を説明し、専門家会議による研究協力を依頼する。専門家会議は集合方式とし、メンバーからは評価尺度の目的に沿った内容であるかの視点から内容の追加修正等の助言を貰うこととしている。その結果を受け、研究者間で総合的に判断し、内容の追加や修正が加えられた質問項目を作成する。次に、パイロットスタディを実施し、試作版質問紙項目の内容の妥当性を検討する。対象は、被災していない地域の防災担当者に研究の目的や方法等を口頭および文書で説明して、自主防災組織会の推薦を依頼する。100名程度の対象者には質問紙を直接配布し、郵送で回収する。データを統計的に分析した後、質問項目の削除、質問内容の修正をして質問紙を完成させる。最後に、完成した質問紙による本調査を実施する。対象は被災地域2か所と被災していない地域2か所とし、地域の偏りをなくすため、それぞれ都市部および農村部から各100名程度を募り計400名とする。自主防災組織の集合時に配布し、返信は郵送法とする。得られた質問紙の評価尺度項目の分析は、①対象特性の集計および尺度の記述統計値(度数、平均、標準偏差)、尺度の総得点の分布に対する正規性の検定、②天井効果およびフロア効果の削除、I-T相関分析、項目間相関分析、クロンバックα信頼係数の算出、③因子分析による尺度項目の編成、④信頼性、妥当性の検討、とする。さらに、被災地域と被災していない地域に分類し、集計・分析したうえで、比較検討し、統合的に評価尺度項目を抽出する。統計解析ソフトSPSSを使用し、解析にあたっては統計学の専門家の助言を得ることとする。
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Causes of Carryover |
専門家会議のメンバーの選定が遅れたため、会議を開催できなかったことから、報償費等が未執行であった。また試作版質問紙項目作成が遅れたため、質問紙の印刷代、パイロットスタディの郵送費およびデータ入力の人件費等が未執行であった。次年度は併せて本調査の質問票用紙の印刷費、郵送代およびデータ入力代が必要であるため、それらの経費に充てる予定である。
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