2020 Fiscal Year Research-status Report
意識下手術における聴覚刺激に伴う精神活動の可視化とストレスマネジメント方略
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17K12207
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
溝部 佳代 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (70322857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横澤 宏一 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (20416978)
尾崎 倫孝 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80256510)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 周術期看護 / 局所麻酔 / 手術室 / 音環境 / 刺激音 / 生体計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1段階の「意識下手術中の音環境の特徴および快・不快な聴覚刺激を明らかにする臨床研究」では、患者および看護師の認識がより詳細に明確となり、看護実践への示唆が得られたため、①意識下眼科手術を受ける患者の音環境に対する認識、②意識下眼科手術における手術室看護師の音環境に対するケア、と題してそれぞれ予定通り国内学会(2020年11月)で発表した。また、第2段階の実験研究として、健常者20名を対象とする「快、不快な聴覚刺激に伴う生体のストレス応答の特徴を捉えるための実験研究」のデータ収集が完了したため、順次その解析を行っている段階である。コロナ禍において半年間、データ収集が中断したため、脳磁計による脳活動解析、自律神経系の心拍変動解析については一部、解析の途中であり、引き続き成果をまとめ、最終年度とする。意識下手術中の音環境を模倣した聴覚刺激に対する主観的評価については、健常者の認識と第1段階①の手術を受ける患者の認識は一致し、持続的な不快音に比べて、突発的な音に対する不快が強いことが確認できたため、国内学会(2020年12月)で成果を発表した。自律神経系によるストレス反応では、一部、心電図のRR間隔に基づく各刺激音に対する差異を検討することができた。その成果からは、持続的な不快音、突発的な音ともに、安静時に比べて有意にRR間隔が短縮し、ストレス反応として確認できた。加えて、RR間隔短縮の応答時間は、持続的な不快音に比べて突発的な音のほうが遅延したことから、より不快度の強い刺激音に対する心拍によるストレス応答に関して先行研究と一致する示唆が得られた。今後、さらに解析を進め、心電図については心拍変動解析を追加、また、脳磁計をもとに脳活動に関する応答時間の特徴、脳活動野の空間的特徴を解析し、刺激音に対する多面的なストレス評価を通して本研究の新規性と看護への示唆について考察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度は機械トラブルにより半数のデータ収集を残して期間が終了したため、1年間延長し、1か月以内にデータ収集を完了する見通しであったが、その間に新型コロナウィルス感染症拡大予防のため研究活動の中止が余儀なくされた。半年後に再開し、予定通りデータ収集を年度内に終えることができたが、複数の生体計測データについて全ての解析を完了することができなかったため、期間をさらに延長して研究成果をまとめ、最終年度とする。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に変更はない。心拍変動解析および脳磁計に関する複数の解析手法を用いて、分析を行う。得られた成果は、学会発表および論文発表により報告する。
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Causes of Carryover |
分析および成果発表が次年度の主な研究活動となるため、それに要する旅費・その他について次年度に使用する計画である。
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Research Products
(12 results)