2017 Fiscal Year Research-status Report
救急看護師が実践する共感援助モデルを適用した精神的ケアプログラムの開発
Project/Area Number |
17K12225
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
上野 恭子 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (50159349)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 加代 茨城キリスト教大学, 看護学部, 教授 (40382816)
長谷川 隆一 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10301053)
岡本 隆寛 順天堂大学, 公私立大学の部局等, 講師 (60331394)
阿部 美香 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (90708992)
宇留野 由紀子 茨城キリスト教大学, 看護学部, 助教 (30734280)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 精神科看護師 / 精神疾患 / 急性期患者 / 患者‐看護師関係 / 共感 / M-GTA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の研究課題は、救急看護師の精神的ケア方法を考案することである。初年度である平成29年度の研究の目的は基盤的知見を得ることであり、精神科病院の医療者を対象に緊張が強く混乱している精神疾患患者との初対面時から次第に関係が構築されるまでの患者の理解の方法や接近方法、さらにそのプロセスを明らかにすることであった。 方法は、帰納的質的研究デザインとして修正版グランデッド・セオリーアプローチ法を用いたインタビュー調査であった。データ収集期間は2018年1月~4月とし、対象は、関東圏内4か所の精神科病院に所属している看護師13名と精神保健福祉士2名であった。彼らは、病院責任者から患者との関わりが優れていると評価され、研究対象者として紹介されたものであった。平均年齢40.5歳(SD 10.9)、精神科勤務平均年数11.0年(6.7)であり、女性10名、男性5名であった。 分析はまだ完了していないが、患者との関わりに優れている医療者の特徴には3つの基本的姿勢や信念が抽出された。まず、たとえ混乱し興奮している患者であっても、彼らには人と通じ合える感性が維持されており、多くの場合、患者は処置されている状況を感覚的に認識できている。第2に患者の問題と考えられる問題の言動は、患者の人格の問題ではなく、病気によって引き起こされている。第3に患者の状態によって医療者は何もできない時もあるが、何もしないことも看護であるという信念があった。また、患者と関わる際のプロセスの構成概念になり得る事柄として、自分のことを患者に危害を与える存在ではないと思わせること、患者を孤独にしないためのメッセージを送ること、患者に共感し、安心させながら処置を行うことなどが挙げられた。 今後、分析の厳密性を高めると同時に概念の精錬を行い、救急部に搬送された急性期の患者への対応や精神的ケア方法の示唆や応用を検討する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究は、精神科所属の医療者を対象に修正版グランデッド・セオリー・アプローチ法を用いてインタビュー調査を行い、急性期状態にある精神疾患患者とのかかわりや患者理解のポイントや特徴、プロセスを明らかにすることを目的とした。 データは15名のインタビュー調査で得られた。13名のデータ収集終了後、一旦分析を行ったが、理論的サンプリングとして追加データが必要と考えられ、新たに2名をリクルートし、データを収集した。現段階では、精神疾患患者との関わる際の基盤となる信念的事柄や大まかな構成概念までの抽出はできているが、研究メンバー間でのディスカッションは不十分であり、ストーリーラインを作成するまでに多少の時間を要すると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
15名分のデータの分析を継続して行い、研究者間で理論的飽和状態にあるか、ストーリーラインは妥当かなどを検討する。これらの作業を今年度夏までに終了する予定である。平成30年度の研究については、7月までに倫理審査を受けて、夏以降にデータ収集を行うため、それまでに平成29年度の分析を完了させれば問題は生じない。
|
Causes of Carryover |
当該年度の研究成果報告が年度内にできなかったためにその諸経費が残ってる。次年度には平成29年度研究成果発表のため、海外あるいは国内での学会に参加する。また、新たにパーソナルコンピューターを購入する予定がある。
|