2017 Fiscal Year Research-status Report
がん化学療法サバイバーが就労する「働きづらさ」の支障程度を示す枠組の開発
Project/Area Number |
17K12256
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
福井 里美 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (20436885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久村 和穂 (石川和穂) 金沢医科大学, 医学部, 助教 (00326993)
三浦 里織 首都大学東京, 健康福祉学部, 准教授 (20551071)
坂井 志織 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (40409800)
石橋 裕 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (50458585)
新井 敏子 埼玉医科大学, 保健医療学部, 講師 (60644101)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん化学療法 / しびれ / 就労 / 支障 / アセスメントツール / がんサバイバー / 末梢神経障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は3つの柱で資料収集と検討を行った。①がん化学療法患者の症状と治療法については、しびれを伴う化学療法後は単純労働者よりも管理・事務職、専門・技術職等が継続していた。またしびれは治療終了1か月後には半数が仕事に支障があったが、1年後にはなくなっていた(Zanvilleら,2016)。また、日本ペインクリニック学会(2016)と日本サポーティブケア学会(2017)のガイドラインでは、しびれへの薬物治療は、ベンラファキシンの有効性を示していた(Durandら、2012;Kusら,2016)。他にもデュロキセチン、プレガバリンと牛車腎気丸等が試みられていたが、一定した効果は示されていなかった。また、生活上の工夫当のケアでは、保温や冷却、転倒や刃物使用時の注意喚起、ボタンのない服を選択するの提案のみで、就業作業とは乖離していた。 ②がん患者の就労継続に関する研究では、de Boer AGEMら(2015)が定量的RCTs研究の系統的レビューから、心理教育ケアと運動療法の介入は低い効果が、多職種協働の職業的介入のみに中程度の効果を報告した。またGreidanusら(2018)の質的論文のレビューから、雇用主の「支援の意向」と「支援能力」、「雇用主との効果的なコミュニケーション」が重要であり、「がん知識の向上」、「労働能力の適切な把握」の必要性を示唆した。 そして、③がん化学療法患者の作業能力の評価指標に関しては、FACT-GOG-Ntx、SF36-CIPN、Tofthagen ら(2011)とKautio ALら(2011)が有用とされた。就労支援時のコミュニケーション枠組みに関しては、高橋ら(2017)が、がん治療による症状で困ったときの職場での対応ヒント集、「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」で企業と医療機関間で情報共有するための様式が試作されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集と議論は予定どおり進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
社会労務士を対象として、実際の傷病手当申請時の内容、申請時の困難の実際の聞き取り調査を進める。この結果と、初年度の資料収集を踏まえて、評価指標の試作版を作成する。
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Causes of Carryover |
資料収集目的の学会参加旅費予算が、学会開催地が関東近隣が多かったために旅費がかからず、残金が生じた。むしろ、次年度は地方開催が多くなるため、調査および学会参加旅費に使用する予定である。
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