2017 Fiscal Year Research-status Report
母親の感じる育てにくさを解消するサポートプログラムの構築
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17K12303
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
平田 良江 山梨県立大学, 看護学部, 准教授 (50326097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名取 初美 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (10347370)
萩原 結花 山梨県立大学, 看護学部, 助教 (50381710)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 育てにくさ / 子育て環境 / 支援者との関係 / 性格 / 子の気質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、初年度において子育てにおける母親が感じる育てにくさの構造を明らかにすることを目的とした。「育てにくさ」に関連する文献検討を行い、育てにくさは子育て中の母親が感じる育児上の困難であり、子どもの気質、親の性格、子育て環境など多くの要素が関係していること、特に子どもの行動を母親がどのようにとらえているのか、という母親の認識、更には育児上の失敗を許せない母親自身の完璧主義で生真面目といった性格が影響を与えていると分析した。 そこで、A県内の保育園、子育て支援センターに来所し協力の得られた母親9名に対し日頃の子育てにおいて「育てにくさ」を感じることがあるのか、その場面や対応についてインタビューを行った。その結果、9名全員が育児上「育てにくい」と感じることはほとんどなかった。母親たちは「子どもが泣く」「上の子との関係で悩む」「夜も頻回に起きて大変」など様々な思いを抱えてはいたが、「子どもとはこういうもの」と認識し子育てを辛く、苦しいものとは捉えていなかった。また、子ども自身の気質についても「性格かなぁ」「上の子とは違うけどそれも個性」と捉えることができていた。また、自身の性格については「楽観的」「悩まない」などと分析していた。 「育てにくさ」を感じない一番の理由として、母親たちからは子育てをしていく環境が整っているからという語りが多く聞かれた。中でも人的環境は重要であり、サポートの有無だけでなく、サポートしてくれる支援者との関係性が良好であることが「育てにくさ」を感じさせない重要な要素であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度には「育てにくさ」の概念分析を行い、子育て中の乳児を育てる母親を対象に「育てにくさ」についてインタビュー調査実施、内容を質的記述的に分析することで、母親が感じる「育てにくさ」を明らかにすることを計画していた。しかし、実際のインタビューでは、母親が感じる「育てにくさ」が語られることがかったため、研究者間で調査計画、調査結果を含め検討した。研究協力者は、A県内の保育園、子育て支援センターに来所する母親で、調査協力が得られた方とした。つまり、子育てには十分なサポートがあり、困った時に相談できる相手(保育園の先生方や支援センターの先生等)が身近にいる、自ら外に出てこられるといった状況があり、困りごとを一人で抱え込むことがないため、「育てにくさ」を感じることがないのではないかと分析した。 そこで、A県内の産前産後ケアセンターにおいてもデータ収集をすることを検討した。ここは、子育ての心配や産後の疲労した母親たちの心と体に寄り添いながら、母親たちをサポートする施設である。そのため、様々な悩みや不安を抱えている母親が来所するのではないかということ、センターに来所した母親たちにインタビューを実施することで、母親が感じる「育てにくさ」を明確にできるのではないかと考えた。 そこで、産前産後ケアセンターに研究協力を依頼するとともに、施設を追加した研究計画書を研究者らの所属施設の研究倫理審査委員会に提出することとした。本来であれば「育てにくさ」を明らかにし次の段階に進めなければならないのであるが、そこに至っていないため、従来の計画よりも遅れる結果となってしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画としては、所属施設の研究倫理審査の承認を得た上で、産前産後ケアセンターにおいて10月末までインタビューを継続し、12月末までにデータ分析を行い、「育てにくさ」を明確にする。その結果を基にアンケートを作成し、平成31年3月までデータ収集を行い、得られたデータを元に共分散構造分析を行うこととする。 アンケート結果を基に、母親が感じる「育てにくさ」に影響を与える要因と要因間の関連を明確にすることはもちろん、インタビュー結果から必要とされるケアを検討し、妊娠中からの教育プログラムを作成していくこととする。教育プログラムの作成と妊娠中のマタニティクラスの開講・実施は平成31年度の計画であるため、今年度中に遅れを取り戻し、最終年度のプログラム構築に繋げていきたい。
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Causes of Carryover |
次年度データ収集する研究対象者を増やす計画であるため、対象者への謝礼に充てる。
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