2018 Fiscal Year Research-status Report
家族看護実践における倫理調整力強化のためのモデルと教育ツールの開発
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17K12310
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
瓜生 浩子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (00364133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長戸 和子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (30210107)
岩井 弓香理 高知県立大学, 看護学部, 助教 (40633772)
山口 智治 高知県立大学, 看護学部, 助教 (80784826)
坂元 綾 高知県立大学, 看護学部, 助教 (90584342)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 家族看護 / 倫理調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、家族内および家族-医療者間に生じる「倫理調整」が必要となる状況とその困難性の特徴を明確化し、「倫理調整」に有効な方略と技術の抽出に向けて取り組んだ。 保健医療分野の先行研究から、家族をめぐる倫理的課題や倫理的ジレンマがみられた文献を抽出し、その内容を分類した。その結果、<救急・集中治療における治療選択とケア><エンド・オブ・ライフケアのあり方><家族による代理意思決定><治療選択に関する意思決定><家族内での価値・意向の相違><デリケートな健康問題をもつ家族のケア><ゲノム・移植に関する医療><気がかりな家族の状況>にカテゴリー化された。これらから、家族をめぐり看護者が倫理的課題を感じている状況には終末期や意思決定時が多く、医療主導で進みやすいという状況や価値観の多様性が問題を複雑化させていると考えられた。また、看護者による状況判断や家族に対する捉え方によっても倫理的ジレンマが生じやすいことがわかった。この結果や文献の内容を参考にして、今後のデータ収集や教育ツールに活用できるように、倫理的課題やジレンマが生じ調整が必要な状況を含むモデルケースを作成し、家族支援に多く関わった経験のあるエキスパート看護師からの意見を得て、洗練化した。 また、家族内および家族-医療者間の「倫理調整」に有効な方略と技術を抽出するために、エキスパート看護師を対象としたインタビューに向けた準備を進めた。作成したモデル事例をもとに、メンバー間でアセスメントの視点や倫理調整においてポイントとなる点を検討し、インタビューガイドの作成を行った。さらに、研究協力依頼に向けた準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
文献検討の結果をもとに、今後のデータ収集や教育ツールの作成に活用できるモデルケースを作成することができた。しかし、教育ツールとしての活用を踏まえた作りこみが難しく、予想以上に時間を要した。また、「倫理調整」に有効な方略と技術を抽出するためのインタビューガイドの作成においても、言語化しにくい方略や技術を引き出せるように、アセスメントの視点や調整のポイントを抽出した上で質問項目を検討したため、時間がかかり、研究全体に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
10月末までに、家族支援に多く関わった経験のあるエキスパート看護師を対象としたインタビューにより、「倫理調整」に有効な方略と技術、患者家族と向き合う姿勢や態度を抽出する。インタビュー時には、倫理調整技術習得の難しさや工夫なども併せて聴取し、教育ツールを作成する際に活かせるようにする。その後、インタビューの結果をもとに、『家族内および家族-医療者間の倫理調整モデル』の作成に取り組む。 また、「倫理調整」の経験をもつメンバーを追加し、研究を推進できるようにする。
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Causes of Carryover |
予定していたインタビューを実施しなかったこと、モデルケース作成時に意見聴取したエキスパート看護師は全員が所属機関の教員であったことから、調査のための旅費や謝金が発生せず、残金が生じた。 次年度は、インタビュー実施にかかる旅費や謝金、テープ起こしや資料整理のための賃金などに使用する予定である。
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