2017 Fiscal Year Research-status Report
妊娠糖尿病女性のセルフケア行動を促進するための周産期ケアプログラムの開発
Project/Area Number |
17K12337
|
Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
楠見 ひとみ 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, その他, 講師 (40782222)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 由美子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, その他, 講師 (60760113)
安酸 史子 関西医科大学, 看護学, 教授 (10254559)
笹 秀典 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 産科婦人科学, 准教授 (70531200)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 妊娠糖尿病 / セルフマネジメント / 自己効力感 / フォローアップ / ケアプログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠糖尿病は母体の長期予後として、糖尿病発症の危険因子であり、相対的な発症のリスクは7.4倍といわれている。糖尿病患者教育は、セルフマネジメント能力を身につけてもらうための援助が最も重要である。本研究の目的は、妊娠糖尿病女性の糖尿病予防のためのセルフケア行動に対する自己効力感を高め、エンパワメントを引き出す周産期のケアプログラムを開発することである。 まず、妊娠期に妊娠糖尿病の診断をうけた6名の褥婦(初産婦2名、経産婦4名)を対象に調査したデータを、妊娠期から出産までの胎児や治療、出産に対する思について帰納的に分析した。「期間限定だから頑張れる」「コントロールすれば怖くない」「健診の度の安心感」「自分の生活を見直す契機」「カミングアウトで得た安楽感」「努力が報われた結果のお産」「自分のためにも母乳をあげたい」「他のGDM妊婦との交流希望」という8つのポジティブなカテゴリーと、「GDMに対する恐怖感」「巨大児になることへの不安感」「GDMであることの否認」「治療に対する困難感」の4つのネガティブなカテゴリーを抽出した。 次に、妊娠糖尿病を発症した女性の産後のフォローアップ体制の現状と課題を文献レビューした。その結果、妊娠糖尿病を発症した場合、産後のセルフケア行動の継続が重要であるが、当事者の認識は十分ではない現状が明らかになった。加えて、妊娠糖尿病診断後のセルフケア行動の継続には、その意志や効力感を高めるための医療従事者の介入、長期的なフォローアップの有効性が示された。 本年度の研究では、今後の本格的な調査の基礎となる資料を得ることができた。妊娠糖尿病女性に対する糖尿病発症予防のためには、出産後の継続的なフォローアップの必要性と、女性自身のセルフマネジメント能力の重要性が改めて明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
妊娠期に妊娠糖尿病の診断を受けた褥婦のデータより、8つのポジティブな思いのカテゴリーと4つのネガティブな思いのカテゴリーが抽出された。これにより妊娠糖尿病の診断をうけた女性の出産までの心理状態について理解を深めることができた。 また、妊娠糖尿病既往のある女性の産後の長期的フォローアップ体制についても文献レビューにより現状と課題が明確になり、継続的なフォローアップの必要性と、女性自身のセルフマネジメント能力の重要性が再確認できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、産後1か月の妊娠糖尿病女性と、妊娠糖尿病既往のある現在糖尿病を発症している女性を対象としたインタビュー調査の2つを並行的に実施する。 産後1か月の妊娠糖尿病女性のインタビューでは、「妊娠糖尿病の診断を受けてから出産後1か月までに、妊娠糖尿病および糖尿病のハイリスク者であることの認識やセルフケア行動がどのように変化したか」等についてインタビュー調査を行う。調査対象は、妊婦健診、妊娠糖尿病治療、および分娩を継続して同一病院で受けた女性とする。その中でも、GDMの診断を受けてからの妊娠期における血糖コントロールが比較的良好であり、分娩後の母児の経過が順調であり、重大な問題が起きていない対象者を選定する。 妊娠糖尿病既往のある糖尿病女性を対象にしたインタビュー調査では、「出産後から糖尿病を発症するまでの時期に、どのように日々の生活を過ごし、どのような心理社会的な体験をしてきたか、また、糖尿病の診断を受けた時の気持ちはどうであったか。」について調査を実施する。対象者は、内科外来を通院中で、過去にGDMの診断を受けたことのある女性とし、糖尿病発症から5年未満、5年から10年未満、10年以上を区切りとして、治療年数に偏りが生じないように対象者を5名ずつ選定する。
|
Causes of Carryover |
次年度は、研究を効果的かつ効率的に進めるために、国内外の学会において妊娠糖尿病女性に対する介入プログラムやフォローアップ体制に関連する知見を集める。 本年度購入予定であった分析ソフトは次年度に購入して、分析環境を整備していく。
|