2017 Fiscal Year Research-status Report
口唇裂・口蓋裂に対する自己認識の実態から次世代に向きあうための支援をさぐる
Project/Area Number |
17K12388
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
中新 美保子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (00319998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 邦子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (50258266)
松田 美鈴 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 助教 (40794996)
西村 直子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (30548714) [Withdrawn]
井上 清香 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 助教 (80803486)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口唇口蓋裂 / 思春期 / 自己認識 / 成人期 / 遺伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.思春期にある口唇口蓋裂当事者の自己認識の実態を明らかにすることを目的とした聞き取り調査を開始した。倫理申請後、12組の保護者と子ども(鹿児島1組、北九州4組、岡山7組)および3名の保護者の聞き取り調査を実施した。親の会の会長を紹介者としての聞取り調査であったが鹿児島においての対象者を増やすためには鹿児島大学歯学部との共同研究が必要と判断し、現在、倫理の申請を進めている。 ここまでの聞取りの結果では、保護者の多くは病名説明を外鼻修正術(小学校入学)前に実施していた。説明のきっかけは、子どもからの質問が最も多く、次いで親の判断であった。説明時には、子どもの写真や絵本を用いながら手探りで実施していた。多くの保護者は医療者に対して、病状説明時のパンフレットやアドバイスなどの支援を期待していることが明らかになった。当事者(子ども)の聞取りも実施したが研究参加者の年齢が低く、自己認識についての語りは少なかった。この点については、当初から3年間の聞取りにより明らかにすることにしていたので今後の継続的な聴き取りから実態を明らかにしていく。これらの結果については、平成30年7月開催の日本小児看護学会第28回学術集会において発表予定である。 2.成人期にある口唇口蓋裂当事者の自己認識および次世代に対する気持ちを明らかにすることを目的とした聞き取り調査を開始した。倫理申請後、10名の対象者に聞き取りを行った。 対象者は自らの経験を肯定的に受けていたが、パートナーの存在や結婚を意識することで、自身の知識がないことを自覚し医療機関を受診する人や次世代への遺伝に関する不安を感じていた対象者もいた。今後、対象者を増やす予定である。現状までの結果については、平成30年5月開催の日本口蓋裂学会第42回学術集会にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、1.思春期にある口唇口蓋裂当事者の自己認識の実態を明らかにすることを目的とした聞き取り調査に取り組むことが課題であったが、2.成人期にある口唇口蓋裂当事者の自己認識および次世代に対する気持ちを明らかにすることを目的とした聞き取り調査も開始できたことは当初の計画以上の進捗状況であった。 しかし、1.の聞取りでは、対象者の募集において若干の偏りや不均衡が生じ新たに鹿児島大学との共同の倫理申請を行っている状況がある点、また、2.の聞取りにおいても追加の聞取りが必要であることも含めて、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.思春期にある口唇口蓋裂当事者の自己認識の実態を明らかにすることを目的とした聞き取り調査については、鹿児島大学の倫理申請を受けた後、思春期の対象者を拡げながら、平成30年度に実施した同一対象者に対する2年目の聞取りを実施する。これまでの保護者の実態については早期に論文として社会に公表し、保護者が子どもへの病名の説明時に何らかの医療者の支援を期待していることを、医療者に意識できるようにする。 2.成人期にある口唇口蓋裂当事者の自己認識および次世代に対する気持ちを明らかにすることを目的とした聞き取り調査については、追加の募集を行い、分析を行う。
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Causes of Carryover |
<次年度使用額が生じた理由>1.交通費:鹿児島県の聞取りを2名と計上したが1名で対応できた事、岡山県の聞き取りの交通費を計上したが、対象者の多くが所属大学に足を運んでくれた事で使用金額が軽減した。2.聞き取り調査時のテープ起こし費:聞き取り時間の短いデータについては研究者自らが実施した事、聞き取りデータのうち3月末に実施したデータがまだ業者に委託できていない事が要因である。 <使用計画>1.交通費:鹿児島県の聞き取り調査は今年度入って複数回訪問の必要性があり、その分に充てる。2.聞き取り調査時のテープ起こし費:聞き取りデータは至急、業者に委託する。また、聞き取り調査は継続するため調査後、早い段階で提出するように努める。
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