2018 Fiscal Year Research-status Report
家族とのICT利用による患者のストレス軽減と認知機能賦活の検討
Project/Area Number |
17K12432
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Research Institution | Taisei Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 公洋 太成学院大学, 人間学部, 教授 (00388670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 弥生 関西医療大学, 保健看護学部, 准教授 (30369714)
本多 容子 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (40390166)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ストレス軽減 / 認知機能賦活 / ビデオ通話 / 遠隔コミュニケーション / 介護老人保健施設入所者 / 入院患者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,スマートフォン等でのビデオ通話アプリを介した家族との遠隔コミュニケーションが介護老人保健施設入所者や入院患者のストレス軽減や認知機能賦活に有効であるかについて,ストレスによる自律神経系の賦活が反映される心拍変動から算出されるストレス指標(LF/HF)と認知機能賦活が反映される前頭前野の脳血流変化から検討することを目的とする。研究2年目である平成30年度は,29年度に計測したデータの分析と発表,新たなコミュニケーション対象者(家族ではなく友人)によるデータ計測,並びに重度の認知症患者の計測を行った。 発表を予定している入所者とその友人とのコミュニケーションのケースでは,コミュニケーション時の心拍変動から算出されるストレス指標(LF/HF)の値は,リラックス状態と考えられている1.0よりも小さい値の状態であった。また認知機能賦活を示す前頭前野の賦活は,右脳左脳共に確認された。家族との場合と同様,ビデオ通話アプリを介した友人との遠隔コミュニケーション時,入所者はリラックスした状態にあると考えられる。会話の内容は,家族とのコミュニケーションでは話されることのない入所者のエピソード記憶の想起の機会となっており,家族とのコミュニケーションとは異なった形での有効性が示唆される。また「今日は○○をする」といったその日ある出来事を認識することが多い施設での生活の中で,入所者が次回の遠隔コミュニケーションがいつあるのかを憶えており楽しみにしていたという施設スタッフの報告から,展望記憶機能への有効性も示唆される。ビデオ通話アプリを介した遠隔コミュニケーションは,コミュニケーションに直接的に関わる認知機能だけでなく,種々の記憶機能に対しても有効である可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に計測分析した研究成果を学会等において発表した。また入所者とその友人との遠隔コミュニケーションの計測を実施した。重度の認知症の患者と家族との遠隔コミュニケーションの計測を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に計測した友人との遠隔コミュニケーション,重度の認知症患者と家族との遠隔コミュニケーションについての研究発表を行う計画である。また遠隔コミュニケーションの有効性が,認知症の重症度よって異なるかどうかについて比較検討する計画である。さらに研究参加者の計測時の負担軽減と今後のストレス軽減と認知機能賦活の有効性の確認を容易にすることを目的として,現在実施している心拍変動と脳血流量とは異なった計測方法の開発を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
研究2年目である当該年度は,初年度に購入した機器を用いたデータ計測を継続していたため次年度使用額が生じた。これらの助成金は最終年度において,新たな研究アプローチのためのソフトウェアの購入等に充てられる予定となっている。
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