2019 Fiscal Year Research-status Report
地域生活を送る統合失調症をもつ人の自殺念慮の体験とその対処方法に関する研究
Project/Area Number |
17K12450
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長田 恭子 金沢大学, 保健学系, 助教 (60345634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北岡 和代 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (60326080)
河村 一海 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50251963)
川村 みどり 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (20347363)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 地域生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域生活を送る統合失調症をもつ人に半構造化面接を実施し、自殺念慮をもった時や辛かった時の状況、対処方法の構造を当事者の語りから明らかにすることを目的としている。把握困難と思われる自殺念慮に関する体験や統合失調症を抱えて生きることの苦労を当事者の主観により明らかにすることにより、統合失調症をもつ人が自殺企図に至らず、安定した地域生活を送るために必要な看護援助を見出したいと考える。 2019年度は、計画通り、データ収集を追加で行いKJ法によるデータ分析を進めた。合計199枚のラベルから「多段ピックアップ」により42枚を精選し、これらを元ラベルとして「狭義のKJ法」を行った。グループ編成による統合を繰り返し、最終的に10のグループ「島」に統合された。最終統合の各島には「シンボルマーク」と呼ばれる象徴概念を与え、島同士の関係線を記入して図解が完成した。 各島のシンボルマークは、【発症への当惑】【無力感と死への欲求】【「死」につながる孤独感】【危うい日常】【病気とともに生きている】【偏見へのおびえ】【危うい関係】【克服の意志】【心の拠り所】【あきらめない夢】であった。 結果の信用性と確実性を確保するため、研究者自身がKJ法の研修を受講した。また図解化までの全過程において、KJ法の専門家からスーパーバイズを受け、KJ法や質的研究の体験者から助言を受けながら進めた。得られた図解を元に叙述化(論文化)を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集は合計9名の方に実施した。そのうち半数以上の方が自殺念慮をもったことがあり、ほとんどの方が自身の体験や思いについて率直に語ってくださったため、貴重なデータを得ることができた。データ分析(KJ法による統合)まで進めることができたため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は叙述化を進め、論文作成、学会発表、論文投稿を行っていく。自殺念慮だけに焦点をあてるのではなく、統合失調症をもつ人の生きづらさや自殺念慮に傾きやすい特性を表したいと考える。日本語の使い方が非常に重要で、日本語の特性に適したKJ法であるが、その特性を損なわないように留意し、英語論文を作成したい。
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Causes of Carryover |
KJ法のスーパーバイズ、専門的知識の提供を受けるための謝金を人件費・謝金として請求していたが、先方の配慮により不要となった。また参加予定であった学会がコロナウイルスの影響により中止となったため、旅費が不要となった。KJ法の研鑽を積んで論文作成に生かすため、次年度も研修会やワークショップに参加予定であるので、それらの旅費や参加費としたい。加えて成果発表のための旅費、研究資料の収集や質的研究関連図書の購入等の経費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)