2018 Fiscal Year Research-status Report
日本語版ISMI-10尺度の信頼性・妥当性:地域で支えるためのアセスメントツール
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17K12482
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田邊 要補 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 教授 (50515319)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ISMI尺度 / 自己スティグマ / 短縮版 / 信頼性 / 妥当性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「精神障がい者の内面化したスティグマ尺度(Internalized stigma of mental illness Scale:ISMI-29尺度)」の短縮版であるBrief Version of the Internalized Stigma of Mental Illness (ISMI) Scale:ISMI-10尺度の信頼性・妥当性を検討することである。今年度実施した研究実績の概要は次の通りである。 1.平成29年度に得られたアンケート結果をエクセルに入力し、その後、データをスクリーニングした。調査に参加した242名のうち、知的障害,器質性脳疾患,質問を完了することができなかった人を除き,230名を分析の対象とした。 2.分析については統計解析ソフト「SPSS」等を使い集計・解析し、日本語版ISMI-10尺度の信頼性・妥当性を検討した。尺度全体の内的整合性のα係数は0.81であった。再テスト信頼性係数はr=0.85であった。基準関連妥当性に関して、日本語版ISMI尺度はベックの抑うつ評価尺度と正の相関があり、ローゼンバーグの自尊心尺度、エンパワメント尺度とは負の相関があった。構成概念妥当性については、因子分析した結果、2つの因子が得られた。 3.日本精神保健看護学会第28回学術集会・総会および第83回日本健康学会総会において、一般演題発表をした。日本精神保健看護学会は精神看護に関わる人が多く所属しており、精神看護に関する専門性が高い学会である。そのため、日本精神保健看護学会で発表することで、より多くの精神看護に関心のある人の目に触れることができる。日本健康学会は、健康に関心のある幅広い分野の人々に知ってもらうという点でも意義のあることである。2つの学会において、「日本語版ISMI-29尺度」の内容を分かりやすく示したリーフレットを作成し、配布した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年4月中に調査票及び研究計画書の作成を終え、5月に高崎健康福祉大学の倫理委員会に研究に係る許可申請を出し、6月5日に許可が出た(高崎健康大倫第2910号)。 その後、調査施設を選定した。大学の夏休みを中心に新潟県内で調査を実施し、9月以降群馬県、1月以降埼玉県で調査を実施した。どこの社会福祉施設のスタッフも社会福祉施設を利用している精神障がいのある方々も協力的であった。 平成30年度は、最初にデータの入力およびスクリーニングした。調査に参加した242名のうち、知的障害,器質性脳疾患,質問を完了することができなかった人を除き,230名を分析の対象とした。データのスクリーニングをキチンとしたことで、その後の解析が順調に進んだ。 学会発表ではあるが、日本精神保健看護学会第28回学術集会・総会および第83回日本健康学会総会において、発表することができた。このことは、今後の論文作成の大きな礎となる。2つの学会発表ができたことも、「おおむね順調に進展している」ことの大きな理由の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度中に調査書の作成及び調査の実施を、平成30年度中にデータの入力とスクリーニングおよび解析を終えることができた。今後は、当初の計画通り、次の①~③を行っていきたい。統計解析ソフト「SPSS」を使い集計・解析し、日本語版ISMI-10尺度の信頼性・妥当性を検討する。さらに、日本語版ISMI-10尺度と日本語版ISMI-29尺度の結果を比較・検討し、日本語版ISMI-10尺度の精度を明らかにする。 ①信頼性・妥当性の検討:結果に基づき信頼性と妥当性の検討し、論文にまとめる。 ②成果発表:日本語にまとめた論文を英訳し、海外の論文に発表するなどして研究成果を発信する。また、リーフレットやホームページを作成し、普及に努める。 ③日本語版ISMI-10尺度の信頼性・妥当性の結果をJennifer E. Boydらに伝えに行く。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、購入物品が予定した価格よりも安価になったためです。 金額が多額でないため、使用計画に大きな変更はありません。
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