2017 Fiscal Year Research-status Report
障がい児の父親に焦点をあてた包括的地域生活ケアシステムに関する研究
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17K12529
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
長谷川 珠代 宮崎大学, 医学部, 講師 (30363584)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 父親の育児 / 父親の企画調整力 / 教育と遊びの連動 / 母親との協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の基盤となる前研究として,平成27年度より継続して行っている障がい児の父親を対象とした調査の結果を整理し,英ジャーナルへの掲載を目指した。この結果を基に父親の障がい児養育支援に関する質問項目を再考し,次年度実施を予定している。 また,調査項目の検討と本研究において目指す父親の障がい児養育支援の方法について示唆を得るため,障がい児の親を対象とした各種研修会や講演会(遺伝関連研修会,自主講演会,重症心身障害児向け発達訓練教材に関する講演会など)に参加した。これらを通して研究対象となる障がい児の父親の自主サークルとの連携を強化することができ,さらには父親が楽しんで育児が行えるような「教育」と「遊び」の側面からの支援について理解を深めることができた。 障がい児の父親の自主サークルに所属するメンバーとの意見交換においては,父親が仕事で培った企画・調整力を生かした活動を行っていること,今の子育ての困り感と楽しさ,母親と協働することの重要性に対する認識などについて語りを得ることができた。 今後の調査において,医療・保健・福祉や生活における育児の実態やサークルの継続性に関する要因,障がい児と過ごすことが楽しいと思えるに至った経緯についてなど,広く聞き取り項目を設定することに加え,父親だけでなく妻からの語りを得ることや、発達障がい児など医療的ケアを必要としない障がい児の父親に対して調査を行うことも,本研究の対象である父親の障がい児育児の特性を見いだすことに必要なのではないかと考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は障がい児育児に関する実態調査として,個別聞き取り調査を予定していたが実施できていない。 調査対象者確保が困難であったこと,聞き取り調査を実施するため調査項目について先行研究をもとに再考したため時間を要していた。 しかし,平成30年度の調査開始に向けて準備が進められていること,様々な情報の集積によってより質の高い調査に向けて検討が進められていること,当初より2カ年に渡る継続的な調査と分析を計画していたことなどから,概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
個別聞き取りによる,障がい児育児に関する実態調査と開始するとともに,フォーカスグループインタビューによる,障がい児育児における支援ニーズ調査を実施する。それらを基に,父親の障がい児育児のサポートモデルの作成を目指す。 当初,対象を医療的ケアを必要とする障がい児の父親に限定していた。しかし,医療的ケアを必要とする児の父親という対象者特性に伴う支援ニーズをより明確に捉えるためには,発達障がいなどのように医療的なケア(チューブ管理など)を必要としない児の父親を含めて調査を行っていくことが有効なのではないかと考えられた。そのため児の障がいの幅を広げて調査対象者を募り,調査と分析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
障がい児育児に関する実態調査としての個別聞き取り調査が未実施であるため、これに関連した研究費用の支出(機器購入、研究補助人件費など)が当該年度に発生しなかった。次年度に実施予定であり、今年度の成果より、研究対象を広げて実施することの有効性が見いだされたため、研究進捗に応じて支出する計画である。
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