2019 Fiscal Year Research-status Report
市町村と周産期医療施設及び大学の連携による切れ目ない子育て支援プログラムの構築
Project/Area Number |
17K12545
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Research Institution | Kameda University of Health Sciences |
Principal Investigator |
久保 幸代 亀田医療大学, 看護学部, 教授 (90634923)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 子育て支援 / 地域連携 / 地域包括支援 / ハイリスク妊産婦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地域と周産期センター及び大学の連携による妊娠期から出産・育児期までの切れ目ない子育て支援プログラムを構築し、複数の市町村を含めた地域包括支援体制を作ることを目的としている。2019年度の成果として以下4点について報告する。 1.近隣市町村・周産期センター・大学の連携による子育て支援プログラムについて、2019年度は4つの市と周産期センターが委託契約し、産後の家庭訪問を実施している。実施件数は35件/年であった。 2.1.の家庭訪問を実施することで、退院後早期の母子の支援に取り組むことができている。その後の育児期の支援について、子育て中の母親にインタビュー調査を行ったところ、子育て支援室に関するニーズが高いことが分かった。そのため、大学の教員や地域の子育て支援室での活動経験を持つ指導者や周産期施設の助産師と協働し、子育て支援室の開設に向けプログラムを立案し準備を進めている。 3.地域と連携し実施している病院助産師の家庭訪問の評価として、助産師にインタビュー調査を実施し、母親へのメリットや今後の課題を明らかにした。メリットとしては、産褥早期に一番不安が強い授乳に関し助産師がかかわれること、そして妊娠期から継続したかかわりによって異常の早期発見ができることなどがわかった。課題としては、分娩施設のマンパワーの問題や助産師の持つべき情報について知識を高めること、さらに地域保健師と連携をして両方の強みを生かした訪問が実施できることなどが挙がっていた。今後はそれらの課題についてどのように取り組むか検討していくことが必要である。 4.3.で実施した研究結果の一部を2019年10月に19th Congress of the International Society of Psychosomatic Obstetrics and Gynaecology (ISPOG)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた、実施状況の評価として、助産師からの聞き取り調査を実施した。さらに、子育て中の母親からのニーズを知るために、母親へのインタビュー調査を実施し、子育て支援室に関する様々なニーズをもっていることが明らかになった。これらのニーズを踏まえ、2020年度、新たに子育て支援室の開設に向けたプログラムを立案し、準備をしている。そのため、当初の計画していた評価と見直し案の立案についてはおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
家庭訪問を実施している施設助産師からのインタビューより明らかになった課題(分娩施設のマンパワーの問題、助産師の持つべき情報向上、地域保健師と両方の強みを生かした訪問の実施)については、今後具体的な解決策を検討していく。また、これらの調査結果について、今後、研究論文としてまとめ発表してく。 また、子育て中の母親に実施したニーズ調査に関しても、今後、調査結果をまとめ学会発表の予定である。 さらに、現在、子育て支援室開設に向け準備を進めている。今後はさらに広い範囲で地域と連携し、施設の環境改善や必要物品の準備、人的資源の確保、支援室の広報活動などを進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、助成金を国内学会への参加とインタビューのテープ起こしや英文校正に使用する計画であった。しかし、国内学会へは参加しなかった(海外での学会発表となったため)ため、テープ起こしや、研究対象者への謝礼などの支出のみとなり、次年度使用額が生じた。2019年度の研究結果から、新たなプログラムとして地域と連携した子育て支援室設置を計画している。次年度は、その準備と昨年度の研究結果の発表として国内の学会参加を予定している。それらの経費として助成金を使用する予定である。
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