2018 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of educational program on cancer prevention for parents and children
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17K12569
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
照屋 典子 琉球大学, 医学部, 助教 (10253957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂川 洋子 琉球大学, 医学部, 名誉教授 (00196908)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小学生 / がん教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年9月、沖縄市内A小学校の小学6年生(142名)を対象として、外部講師(医師)によるがんについての授業を行い、がんやがん患者への理解を把握することを目的として、授業後のふりかえりワークシートの質的分析を行った。保護者より承諾を得た児童(109名)のワークシートの分析を行った結果、授業を受けてわかったことについては175件の記述があり、①がんは治せる(57件)、②がんは身近な病気(31件)、③がんは細胞のミスコピーでできるもの(26件)、④タバコ、酒が原因でがんになる(13件)、⑤放射線や手術など様々な治療がある10件、⑥がんにはいろいろな種類がある(8件)、⑦がんは予防できる(7件)等の回答がみられた。授業前のイメージと変わったことについては98件の記述があり、①早期発見すれば治せる(52件)、②治せることがわかって、怖いイメージが減った(16件)、③治療法がいろいろあると知って安心、頑張ろうというイメージに変わった(8件)、④検診やがん予防12か条を知って予防できるというイメージに変わった(7件)、⑤誰でもかかる可能性のある身近な病気というイメージに変わった(6件)等であった。がん患者について理解するためにできることについては144件の記述があり、①励ます、勇気づける (34件)、②見舞い、そばにいる(28件)、③今日学んだことを伝える(24件)、④がんについて勉強する(22件)、⑤自分ががんになったらどうするか考える(16件)等であった。大切な人ががん予防、早期発見するためにできることについては159件の記述があり、①検診を受ける(勧める)(92件)、②予防法(規則正しい生活、運動、食事など)を一緒に行う(31件)、③禁煙、節酒する(21件)等であった。以上のことから、小学生においても、授業を通して、がんやがん予防、がん患者の理解が十分できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、がんについての授業について、小学校の教諭とともに、プログラムの組み立てを行ない、小学生へがんについての授業を行う計画を立案していた。しかしながら、現場の教諭との話し合いで、がんについての授業を具体的にどのように進めてよいか困っていることを知り、沖縄県内においても、がんについての授業を行っている小学校がほとんどないことから、全国的に小学生へのがんについての授業に取り組んでいる医師(外部講師)によるがんについての授業を行ってもらうことで、小学校教諭に対しても、教育的介入の機会になると考え、県内小学校(1か所)の6年生を対象とした出前授業を計画した。関わったクラス担任の教諭から、「6年生の保健の授業の病気の予防と関連付けて、がん医療のリアルな現状、データの提示があり、子供たちにとっても関心が高まったと思う」、「がんについての正しい知識の獲得、患者への思いやりを学んで、子供たちの心の成長を感じることができた」、「がんは怖い、死に近いなどのメッセージを児童に伝えないような授業をしていくべきだと思った」等の意見が聴かれた一方で、「外部講師を活用するにあたっての予算確保や外部講師と教諭との授業の打ち合わせの時間確保」や「発達段階に応じた学習内容(カリキュラム)の作成」が今後の課題であるという意見があった。今回の外部講師による授業の実施を活かして、今後は、教諭と外部講師による授業の組み立て(役割分担等)を検討することで、小学校における効果的ながん教育についての参考になったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度の成果を踏まえ、当初計画していた「親子で学べる」がんについての出前授業プログラム実施、評価に対して協力可能な施設(小学校)について、市町村の教育委員会内の学校支援コーディネーターを通して、小学校との調整を行っているところである。 授業後には、子供たちへふりかえりシート(学びと保護者と共有したこと)の記入を依頼し、それを通して、親子で学ぶがんについての授業実施の評価を行う予定である。さらに、教諭から、今後のがん教育への課題について、どのように計画しているのかについての意見を聴取し、教育現場と医療との連携(がん体験者の活用も含めた)による効果的ながん予防教育プログラムの実施に向けた課題を検討する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、平成30年度は、がんについての授業を、小学校2校で計画していたが、実質的には、協力施設が1校のみであったため、その分、予定していた教育介入に関する講師謝金、打ち合わせ等の支出がなく、次年度へ持ち越しとなった。
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