2017 Fiscal Year Research-status Report
脆弱性を有する生活困窮者へのマージナルケアモデルの構築
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17K12584
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
時長 美希 高知県立大学, 看護学部, 教授 (00163965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 美香 高知県立大学, 看護学部, 助教 (10633703)
石川 麻衣 群馬大学, 大学院保健学研究科, 准教授 (20344971)
小澤 若菜 高知県立大学, 看護学部, 講師 (90584334)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脆弱性 / 公衆衛生看護 / マージナルケア |
Outline of Annual Research Achievements |
脆弱性の概念分析、生活困窮者の有する脆弱性の文献検討を行った。(1)vulnerable population(脆弱な人々)、Vulnerability(脆弱性)、貧困、生活困窮者・生活保護受給者に関連する国内外の文献を検討し、脆弱性の概念分析を行う。また、生活困窮者の脆弱性の構成要素、特徴に関する内容、を抽出し整理した。人間の脆弱性とは、人間にダメージや喪失あるいは危害を及ぼしそれを受け入れやすくさせうる自然的・身体的・構造的・個人的要因の総体であり、「生物学的ないしは肉体的脆弱性」「社会的脆弱性」「文化的脆弱性」という3つの局面を含み、それらについて、障害・エイジング・病気への罹りやすさ・死から生じる脅威・環境その他の自然の脅威・偏見と差別・貧困・自由の制限などの課題が示されている。また、ヘルスケアとの関連性から、「普遍的脆弱性」「特別な脆弱性」を包含する概念とされている。前者は、人間のかかえる普遍的な「生の有限性と脆さ」であり、脆弱性を持つ存在として生きる人間の様相を示すものである。後者は、個人的・社会的な状況的脆弱性を示し、人間の生きる様々な局面で負わされる障害・病気・制限などの「個人的脆弱性」と貧困・自然災害・差別・周辺化・不平等などの「社会的環境的脆弱性」を示すものである。「普遍的脆弱性」という観点を導入することで、人々が共通する脆弱性を有する存在として相互に関心を持ち、支援を交換しながら連帯して社会的支援を形成する方向性を示唆することができ、「特別な脆弱性」という観点を導入することで、個人的状況や社会的環境的な状況において、自分自身を守る手段と能力を獲得し、回復力・強靭性の増進を目指す方向性を示唆することができる
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
文献を検討しているが、枠組み・インタビューガイドを作成し、インタビューすることができていない。大学における教育活動、運営管理活動、地域貢献活動を含めたマネジメントが円滑に行えなかったことが原因である。予期していなかった大学でのトラブルが生じたために、対応に時間を要したこと、自らの生活上の様々な調整が十分にできなかったこと、が影響を及ぼした。
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Strategy for Future Research Activity |
1.研究改革を変更する。 遅れている「脆弱性を有する生活困窮者へのインタビューによるデータ収集、分析」を今年度の計画に入れる。また、支援者へのインタビューは、次年度に組み入れることとする。 2.共同研究者を追加して、計画を推進する。
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Causes of Carryover |
研究が遅延したために、計画していたインタビューができず、次年度使用額が生じた。
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