2017 Fiscal Year Research-status Report
子育て期の家族エンパワメント尺度の開発と信頼性・妥当性の検討
Project/Area Number |
17K12594
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 美樹 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 助教 (90749540)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 仁子 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 教授 (40125919)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | エンパワメント / 家族 / 子育て / 乳幼児 / 養育者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、エンパワメントという概念に着目し、子育て期の親の家族エンパワメントを測定する尺度を開発し、信頼性・妥当性を検討することである。平成29年度は、以下の(1)~(4)のように実施した。 (1)文献検討:先行研究及び関連報告等を資料として、子育て期の親の家族エンパワメントに即していると思われる具体的な項目を抽出した。さらに家族機能に関する先行研究から家族のエンパワメントに関係する内容を精選して質問項目を抽出し、アイテムプールを作成した。 (2)フォーカスグループインタビューに基づく質問項目の検討:地域看護学及び家族看護学を専門とする大学教員5名と行政保健師6名に対して、2つのフォーカスグループインタビューを実施した。内容に関する意見を聴取し、意見をもとに曖昧・不適切な表現や項目を見直した。 (3)子育て期の親の家族エンパワメントの概念の精選:文献検討及びフォーカルグループインタビューの結果から、家族エンパワメントのプロセスとして「問題の共有」「情報の獲得や資源の活用」「内発的動機づけ」「解決できている状態」の4つの因子を設定し、質問項目のアイテムプールを作成した。研究者間で質問項目内容の検討を繰り返し、過不足をおぎない、構成概念を広くカバーできる質問項目を選定し、質問項目の選別、表現の修正を行った。その結果、60項目の質問項目を採択した。 (4) 子育て期の親の家族エンパワメント尺度原案の作成:尺度の表面妥当性を確保するため、さまざまな経験年数と専門領域を持つ看護職15名にプレテストを行い、回答における不具合や表現のわかりにくさ等について意見聞き、質問項目の表現等を修正した。最後に研究者間で修正を行った。これらの手続きにより完成した60の質問項目を尺度原案とした。次年度は、子育て期の親の家族エンパワメント尺度の信頼性・妥当性の検証を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、尺度開発に際しての家族エンパワメントの構成概念の明確化、子育て期の親の家族エンパワメント尺度原案の作成、尺度の基準関連妥当性検証のための外的基準の選択等を計画に基づき実施できた。次年度予定している尺度の信頼性・妥当性の検討に向けて、当初の研究計画通りに進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究2年目である平成30年度は、平成29年度に作成した子育て期の親の家族エンパワメント尺度の信頼性・妥当性を検証に向けた調査を実施する。具体的には、以下の(1)~(2)を実施する。 (1)子育て期の親の家族エンパワメント尺度の信頼性・妥当性の検証に向けた調査の実施:尺度の信頼性・妥当性の検証に向けて、1~3歳児を持つ父親・母親それぞれ400名(合計800名)を対象に、無記名自記式質問紙調査を実施する。調査方法は、インターネット調査を用いる。全国に居住する調査対象者を選定可能であること、母親だけでなく父親の回答が得やすいことなどを勘案し、研究目的に沿った調査方法として選定した。統計解析方法は、記述統計、尺度の項目分析、因子分析、信頼性・妥当性の検討を行う。 (2)開発した尺度の活用に関する検討:今後は、尺度の活用可能性を確認するための調査フィールドを開拓する。調査は乳幼児を持つ親を対象とするため、乳幼児健診を実施する自治体、保育園、地域子育て支援施設等に協力依頼を行い、調査協力を得たうえで無記名自記式質問紙調査を計画する。さらに子育て期の親の家族エンパワメントの関連要因の検討に向けて研究を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
平成29年度の費用はおおむね執行したが、若干の未使用額が生じた。未使用額については、平成30年度に実施予定の質問紙調査の費用がかかるため、次年度の研究実施に伴う費用として活用する。 平成30年度は、質問紙調査については、インターネット調査会社への委託費、調査補助者の人件費、研究成果公表に関する経費(学会発表・論文の投稿)、次年度以降に行う調査のため自治体や施設等へ説明に出向くための旅費等に使用する。よって、次年度使用額も含め、予定通りの遂行が見込まれる。
|