2017 Fiscal Year Research-status Report
Establishment and Deepening the Concept of "Disaster Culture" as a key to the door to mitigate disaster damages
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17K12609
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山崎 友子 岩手大学, 教育学部, 教授 (00322959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
主濱 祐二 岩手大学, 教育推進機構, 准教授 (20547715)
Hall James 岩手大学, 教育学部, 准教授 (80361038)
境野 直樹 岩手大学, 教育学部, 教授 (90187005)
西館 数芽 岩手大学, 理工学部, 教授 (90250638)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 災害文化 / 減災 / 文学・方言・ことば / 脆弱性 / 自然観 / 地域社会の親密性 / 産業 / 人口減 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災から7年が経過し、災害を長いタイムスパンで捉えると、新たなステージに入っている。復興事業の終了という公的支援の終了、被災地の人口減による学校の統廃合などの課題に直面している。そのような中、岩手県沿岸には、台風が上陸するという新たな災害も発生した。また、災害文化を構成する新たな分野として「文学・ことば」にも注目した。岩手の学校調査では、校歌に着目し、子ども達の自然観を育て、災害文化の一翼を担うことがある点を指摘する研究成果をThe American Association of Geographersの年次研究大会(於ボストン)で発表した。しかし、学校統合が進み、地域の自然を謳う歌が失われていることも調査し、岩手大学で開催した第三回災害文化研究会で発表した。台風という新たな災害に関しては、岩手県岩泉町の台風被害調査を実施し、高齢化、過疎化という地域の脆弱性が、必ずしも犠牲に直結せず、むしろ、自然を身近なものとして生活していること、近隣との接触があることが命を守ることにつながっていることを指摘し、AAG及び第三回災害文化研究会で発表した。自然観や地域社会の親密さは災害文化において重要な位置を占めている。しかし、復興のステージでは、産業・人口の維持なくしては、災害文化を継承していくことはできず、災害に対して脆弱性が高くなることも分かった。「文学・ことば」については、諫早水害60年後の記憶を調査し、諫早出身の芥川賞作家野呂氏による文学を通しての継承から、第三回災害文化研究会のテーマとした。被災地では、災害直後に本への欲求が高かったが、7年を経た今、災害文化を継承・醸成していく媒体として、ことば・方言・文学の役割を確認した。社会に貢献するという研究の役割を災害が確認され、今被災地で起こっていることは日本社会の課題を先取りするものであるとの認識を共有した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
それぞれの課題を調査研究することに加えて、災害文化研究会を開催し、約100名の参加を得た。他の研究者だけでなく、被災者にも研究に参与し声を挙げる機会となり、行政・メデイアとの連携も深まった。災害文化研究会には、ポスターセッションを設け、一般の方や行政の方々も参加しやすくなる工夫をしたところ、被災地から2つの高校からの発表、NPOの発表、国際交流ルームからの発表があり、様々な立場の人達の交流の場となった。このような研究会が、成果の発表の場としてだけでなく、テーマである災害文化の醸成の場ともなっていた。
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Strategy for Future Research Activity |
○災害文化研究会を恒常的な開催にできないか検討する。 ○災害の資源的価値の側面を捉え、災害文化の資源化を検討する。 ○「災害学習」という、被災地に学ぶ学習を出発点として、それぞれの地域で発展・相互交流を図る学習を、広島・長崎における「平和学習」(「平和教育」ではない)の調査研究をもとに検討し、「災害学習」が被災地の減災の実現、地域の資源となることを示す。 ○発信につとめる。
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Causes of Carryover |
○第三回災害文化研究会の開催が、講師やパネリストの日程調整により、2月実施となったため、報告集の発行を次年度とした。 ○H29年度調査研究の成果としての国際学会発表(American Association of Geographers)が4月初めであり、航空券の購入等をH29年度中に行ったが、4月の出張については、出張命令等の書類上の手続きが、H30年度となったため。
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Research Products
(12 results)