2019 Fiscal Year Research-status Report
災害後のQoL回復につながるPTGレジリエンスモデルの構築
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17K12622
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
久徳 康史 中央大学, 研究開発機構, 機構准教授 (70569706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檀 一平太 中央大学, 理工学部, 教授 (20399380)
山科 満 中央大学, 文学部, 教授 (40306957)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地震 / 自然災害 / Trajectory / 分類 / 予測 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災や熊本地震などの甚大な被害を伴う自然災害は、多くの被災者に心理的トラウマを引き起こし、心的外傷後ストレス(PTS)などのネガティブな心理的反応につながることが知られている。そのため、PTSを軽減することによる心理的適応の促進を主眼とした研究例は多い。しかし、被災後にはネガティブな心理的反応だけではなく、心的外傷後成長(PTG)というポジティブな心理的変化が生じることも報告されている。そこで我々は、PTGが生じる過程に焦点を当て、主観的生活の質(QOL)の回復との関連性に着目し研究を進めている。 昨年度までの時系列調査で被災者のPTGには4つの異なるTrajectory群が抽出された。具体的には、常にPTGが低い 「Low PTG群」、常にPTGが高い「High PTG群」、後にPTGが現れる「Late-onset群」、後にはPTGが減退する「Illusory PTG群」が抽出された。これらのうち一時的にPTGがみられるが、衰退していくIllusory(偽)PTGを示すグループは、その後の心理的適応が進まないにもかかわらず心理的介入などが見逃されることが懸念される。 この懸念に対し、ロジスティック回帰分析を用い、Illusory PTGグループに属する被験者変数を検証していた。しかし、Trajectoryを予測する精度が十分なレベルまで至らなかった。 そこで昨年度は新たな試みとして、機械学習を用い東日本大震災時のデータをもとに探索的解析を行った。その結果、従来用いていた被験者変数による予測精度が低いことが再確認された。そこで、初期のPTGの得点を特徴量として用いた結果、後のTrajectoryを高い精度で予測できることが分かった。本知見は新奇性が高く、査読付きの英文学術誌への投稿作業を進めている。また、本手法を熊本地震のデータを用い確証的に検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先述のとおり、非常に新奇性の高い知見が得られたため、1年延長し研究を行っている。延長後の予定通りに論文投稿をすすめている。また、並行して、確証的な検証を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までとは異なるデータセットを用い、短い測定期間で異なる自然災害でも今回の結果に再現性があるかを確証的に検証する。また、得られた結果をAmerican Psychological Societyなどの国際学会で発表し、その後論文化を進める。
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Causes of Carryover |
経時的調査を行うためには、当初予定していたより脱落率が高かったため、三回目の測定を行わなかったため差額が生じた。そのため、既得データに対し、PTG研究に機械学習を応用したところ非常に新奇性の高い知見が得られた。そこで、従来の統計に加え新手法を行うためにコンピュータや分析ソフトの拡充を図るために用いる。また、学術論文の投稿に関わる費用も生じる。
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Research Products
(1 results)