2018 Fiscal Year Research-status Report
Construction of personal information provision system for support group after a disaster
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17K12627
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山崎 栄一 関西大学, 社会安全学部, 教授 (00352360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立木 茂雄 同志社大学, 社会学部, 教授 (90188269)
田並 尚恵 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (90351957)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自然災害 / 災害時要配慮者 / 個人情報 / プライバシー / 行政機関 / 支援団体 / ニュージーランド / カンタベリー地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、災害時要配慮者等に関する個人情報の情報提供をどのような法的根拠に基づいて正当化すればよいのかについて、三つの検討を行った。 一つ目は、個人情報の提供の促進について、災害時要配慮者等にとってどのような権利に基づいた主張が展開されるべきなのかについて、被災者支援という場面において抽出された「アクセスされる権利」「忘れ去られない権利」としての位置づけを試みた。これらの権利は、災害時要配慮者等が災害時において特に埋没しやすいという特徴を示唆しており、問題の本質を再確認させるものである。このような理論研究と平行して、大分県別府市における災害時要援護者の個別支援計画づくりを促進する取り組みに関与することで、これらの権利の実現化を試みた。 二つ目は、法制度設計という視点に基づいた検討である。障害者に関する条約・法令(障害者権利条約・障害者基本法・障害者差別解消法)を分析する中で、災害時における情報共有のあり方を示す条項の抽出をはかった。 三つ目は、比較研究として、ニュージーランドの自然災害時における個人情報の取扱について、調査を行った。調査対象としたのは、2011年に起きたカンタベリー地震における情報共有である。地震直後、プライバシーコミッショナーによって緊急立法であるCode of PracticeとしてChistchurch Earthquake(Information Sharing)Code 2011(Temporary)("Code of Practice 2011")が制定され、Code of Practiceに基づいて、行政機関―支援団体間における情報共有が促進されたという実績がある。当時にCode of Practiceの制定に関わったBlair Stewart氏ならびに情報共有の実態調査に関わったKathryn Dalziel氏にインタビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被災者支援における権利論を展開する中で、「アクセスされる権利」「忘れ去られない権利」という権利を抽出したことによって、本研究テーマにおける権利論的アプローチへの道が開かれた。大分県別府市における調査活動は、災害時要配慮者等の個人情報の共有について災害前から取り組むべき課題を示している。 障害者に関する条約・法令の分析ならびにニュージーランド調査は、日本における将来的な法制度設計ならびに情報共有の運営のヒントになり得るものである。特に、Code of Practiceは支援団体への情報共有を法制度上正当化を図るツールとして期待ができる。 これらの研究成果は、災害後における支援団体への個人情報提供システムの構築という本研究の最終目標に資する材料を提供している。
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Strategy for Future Research Activity |
個人情報提供システムの構築に向けての作業ならびに実態調査を引き続き進める。 2019年度は最終年度であり、研究成果の報告・実装に向けた試みを展開する。2018年度に実施をした関連法制の研究成果を2019年度には自治体職員向けの実務本という形で公表することを目指す。年度末において最終報告会の開催を予定している。
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Causes of Carryover |
半年間、ニュージーランドにおいて在外研究に取り組んでいたことから、日本国内において予定していた実態調査が実施されなかったため、実態調査に必要な物品費や旅費が使用されなかった。 実態調査の実行を行うとともに、研究成果の報告に充当する。
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[Book] 教育現場の防災読本2018
Author(s)
中井仁監修 「防災読本」出版委員会
Total Pages
586
Publisher
京都大学学術出版会
ISBN
978-4814001651