2019 Fiscal Year Research-status Report
Construction of personal information provision system for support group after a disaster
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17K12627
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山崎 栄一 関西大学, 社会安全学部, 教授 (00352360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立木 茂雄 同志社大学, 社会学部, 教授 (90188269)
田並 尚恵 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (90351957)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自然災害 / 個人情報 / 被災者支援 / ニュージーランド / 緊急事態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、災害後における支援団体への個人情報提供を促進するための法制度のあり方について、ニュージーランドにおける個人情報保護法制の立法・運用を参考に、検討を行った。 地震当時は、Privacy Act 1993 第6条Principle11(f)において、本人の同意を得ずに個人情報を提供するには、公衆の衛生もしくは公共の安全、または、当該個人ないし他人の生命もしくは健康のいずれかに対する重大かつ切迫した(serious and imminent)脅威を防止あるいは軽減するために必要であること」という要件が設けられていたが、「切迫」という言葉が削除されている。日本においては、災対法や個人情報保護条例上、「特に必要があると認めるとき」とか、「緊急かつやむを得ないと認められるとき」という風に厳格な要件が設けられている。日本においても、立法論的に、災害時においては、重大性だけの要件で情報共有を可能にすることはできないだろうか。 Code of Practice 2013は、2011年のカンタベリー地震当時に緊急の暫定的な立法措置であったCode of Practice 2011を恒久法化したものである。Privacy Act 1993と比べると、Code of Practice 2013は目的や権限について詳細に規定をし、身元確認、安否情報のみならず被災者支援を対象として、公的機関・民間機関を問わず広範に本人の同意なしに情報を提供できる仕組みを設けている。ただし、国家緊急事態宣言の発令を要件とし、比較的短い期間に限定されている。日本において、同様の緊急事態宣言を要件とした災害時の特別法あるいは規定を設けることについては、①どのようなタイミングを要件とするのか、②そもそも、緊急事態とそうでないときの情報提供のギャップを認めるのかといった論点が残されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルスによる影響で、いくつかの研究事業が展開できなかった。一つは、災害後における支援団体への個人情報提供に関して国際的な比較をするために、2019年2月末にシンポジウムを開催する予定であったが、中止を余儀なくされた。もう一つは、2019年度末に広域避難者の被災者支援の状況に関する調査を実施する予定であったが、同様に中止を余儀なくされた。 ただし、災害後における支援団体への個人情報提供を促進する法制度設計について、ある程度のめどが立ったことから、最低限の進捗がなされたものと理解している。
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Strategy for Future Research Activity |
以上、中止を余儀なくされた事業の見直し、再開を図るとともに、1年間の研究期間の延長を生かすべく、これまでの研究成果のブラッシュアップに努めていきたい。具体的には、中止を余儀なくされたシンポジウムについては、すでに原稿が用意されているので、それを公表するなどして代替的な措置としたい。 また、研究成果の実装に向けてのアクションも展開できればと考えている。具体的には、大分県別府市で実施されている災害時要配慮者ケアプラン作成事業において、本研究事業の成果を生かした、個人情報の共有促進を想定している。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスによる影響で、いくつかの研究事業が展開できなかった。一つは、災害後における支援団体への個人情報提供に関して国際的な比較をするために、2019年2月末にシンポジウムを開催する予定であったが、中止を余儀なくされた。もう一つは、2019年度末に広域避難者の被災者支援の状況に関する調査を実施する予定であったが、同様に中止を余儀なくされた。 以上、中止を余儀なくされた事業の見直し、再開を図るとともに、1年間の研究期間の延長を生かすべく、これまでの研究成果のブラッシュアップに努めていきたい。
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Research Products
(6 results)