2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction of personal information provision system for support group after a disaster
Project/Area Number |
17K12627
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山崎 栄一 関西大学, 社会安全学部, 教授 (00352360)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立木 茂雄 同志社大学, 社会学部, 教授 (90188269)
田並 尚恵 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (90351957)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 自然災害 / 個人情報 / 災害時要配慮者 / 個別避難計画 / ケアプラン / 被災者支援 / 避難行動要支援者名簿 / 災害対策基本法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、災害後における支援団体への個人情報提供を促進するための法制度のあり方について、内閣府によって主催された「令和元年台風第19号等を踏まえた高齢者等の避難に関するサブワーキンググループ」における検討内容及び検討結果の分析を行った。そこでは、「避難行動要支援者名簿」の意義の再確認を行うとともに、「個別避難計画」作成の新たなスキームの解明に着手した。 災害後における支援団体への個人情報提供の有力なツールとして、「避難行動要支援者名簿」が災害対策基本法49条の10以下において規定されている。制度設計として①避難行動要支援者名簿作成の意義、②名簿の掲載対象者の再検討を行うとともに、災害直後における緊急時における名簿の提供(災対法49条の11第3項)について、「特に必要があると認めるとき」という要件があり個人情報の提供が萎縮してしまうのではないかという指摘を行った。 他方、要支援者個人個人ごとに作成される支援計画として「個別計画」が市町村の主導の下で作成されることになっていたが、避難行動要支援者名簿とは異なり法令上では規定されておらず、あくまでも取組指針に留まっていたので、個別計画の作成が芳しくなかった。サブワーキンググループにおいては、共同研究者である立木茂雄によるケアプランを活用した個別計画作成の取組(大分県別府市)が紹介され、個別計画作成のスキームの一部分として導入された。本研究プロジェクトの社会的実装の成果といえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先ほど述べた、内閣府におけるサブワーキンググループの開催、サブワーキンググループでの避難行動要支援者名簿ならびに個別避難計画の活用方法についてのスキーム形成、スキームを実現するための災害対策基本法の法改正案の作成により、災害後における支援団体への個人情報提供を促進する法制度設計について、相当程度のめどが立ったことから、最低限の進捗がなされたものと理解している。 コロナウイルスによる影響で、2020年度末に広域避難者の被災者支援の状況に関する実地調査を実施する予定であったが中止を余儀なくされた。
|
Strategy for Future Research Activity |
以上、中止を余儀なくされた事業の見直し、再開を図るとともに、1年間の研究期間の延長を生かすべく、これまでの研究成果のブラッシュアップに努めていきたい。 特に、研究成果の実装に向けてのアクションとしては、避難行動要支援者名簿ならびに新しい枠組みである個別避難計画を、いかにして災害後に活用するのかについて研究を進めていきたい。2021年には災害対策基本法が改正され「個別避難計画」に関する規定が49条の14以下において規定されることとなっており、新たな計画作成スキームとの整合性が分析されることになる。 さらなる支援団体への提供が促進されるように、災害時における個人情報の取扱に関するテキストの出版に取り組みたい。
|
Causes of Carryover |
国内において、調査・研究発表をする予定であったが、コロナウイルス感染症災害によって移動が困難になったため、中止した分が余剰金として生じてしまった。 2021年度において、予定していた調査・研究発表を実施するために次年度使用額を計上している。
|