2019 Fiscal Year Research-status Report
多重被災からの復興と地方創生のための地域キャリア教育プログラムの開発
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17K12630
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
河村 信治 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80331958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 康 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 教授 (00251348)
玉川 英則 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (10171886)
市古 太郎 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (10318355)
永田 素彦 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (60271706)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 震災復興 / 多重被災 / 地域復興 / シャレットワークショップ / トレイル観光 |
Outline of Annual Research Achievements |
①野田村CWS2019を実施した。 年度初めより準備を進め、8月25日(日)~28(水)に夏合宿を実施した。学生12名および教員スタッフ5名が参加した。今年度の合宿は2018年度から発展させた「写真de温故知新」プログラム(学生と村の職員の参加者が一緒に、古い野田村の情景の写真を見るとともに、現在の村の同じ場所を訪れて写真を撮り、古い写真と比べながら話し合う)の実施を軸に、その他村行事のサポート等を通して、住民との交流からの気づきに重点を置いた。12月14日(土)に工学院大学(新宿)にてフォローアップゼミを開催し、夏合宿成果の村へのフィードバック方法を検討した。首都大学の研究室でGoogle map 上に写真(昔と今)とコメントをリンクさせるWebサイトを作成した(同研究メンバー及び地元関係者以外には、URL非公開)。令和1年 2月21日(金)~22日(土)に野田村でまとめのワークショップを実施し、メンバーの野田村関係の研究と夏の合宿とその成果を報告した。さらに2日目には村内最大の復興(高台)団地において、住民と学生による「写真de温故知新」のプログラムを実施した(村民参加者7名)。 ②③ネパール山間被災地における復興プロセスについては、現地での追跡調査を実施することはできず、間接的に支援団体のSNSからの状況把握を続けた。 ④復興研究交流セミナーについては、折からの新型コロナウイルス禍で計画縮小を余儀なくされ、令和2年3月10日(火)に八戸市内において、野田村の復興ボランティアおよび研究に関わるネットワーク(複数の大学研究者と市民)で小規模な研究会を開催し、研究代表者と研究分担者の1名が参加し、活動報告および情報交換を行った。 ⑤地域キャリア教育プログラム開発を模索する中で、地域住民と学生が野田村の過去~未来のイメージを共有するためのワークショッププログラムを発展させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和1年度の研究は、①野田村CWS関係についてはほぼ計画どおりに実行し、質的に成果を上げることができた。一方、②ネパール山間被災地の復興プロセス追跡調査については2年続けて現地訪問ができず、停滞した。 ①野田村CWSメンバーと野田村関係者(とくに村のキーパーソンおよび村職員)との交流と信頼関係は回を重ねるごとに醸成されてきた。活動内容についても、とくに今年度実施した「写真de温故知新」プログラムは村関係者に好評で、村内の別の局面でも活用されはじめ、今後の更なるプログラムの展開と活用に期待が持てる。本研究の企図として、現実の地域の復興に少しでも寄与していくことが本来の目的であるため、当初想定された課題の見直しを図らねばならない局面もあり、それに応じてのプログラムの修正はある程度必要と考えてきたが、あらためて当初目論んだ「地域キャリア教育プログラム開発」の模索に回帰する可能性のある展開であったと考えている。 ②令和1年度中は研究代表者の日程と現地および支援団体との調整がつかず、ネパール・ランタン村の追跡調査は2年続けて現地訪問が実現できなかった。令和1年秋に国内にて支援団体代表へのヒアリング調査を計画したが、10/12~13の台風19号被災対応でこれも実施できておらず、さらに年明けて新型コロナウイルス禍によりネパールへの入国自体が厳しい状況となっており、目下支援団体のSNSを通じて現地状況の見守りを続けているところである。また新型コロナウイルスの影響で④復興交流プログラム含め今後の研究計画の再検討と修正が急務と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
①令和2年度も野田村CWSを継続実施し、地域貢献と学生教育目的のバランスを取りながらプログラムを進化させ、地域主体の復興むらづくりに寄り添っていく。一次産業の後継者育成は地域復興の大きな課題であり、地域キャリア教育プログラムへの展開を意識しつつ、「写真de温故知新」プログラムの発展的実践を試みていく。 ②ネパール・ランタン村は2015年の震災後、住民主体でコミュニティと伝統的生業の維持に配慮しつつ、トレッキング観光による地域復興を進めてきているが、世界的な新型コロナウイルス禍がまたどのように復興に影響するか懸念されるところである。地域外からの支援への対応等含め、地方の災害復興の比較モデル事例として、野田村と並行しての地域復興プロセス調査を続ける。現地調査の機会はたえず見計らいつつ、民間支援団体の活動の調査と持続的な現地との関係づくりの一方で、東北地方太平洋沿岸を結ぶトレイル観光について調査を進める。 ③災害復興と地方再興の両方の観点から、アクションリサーチとして研究成果をまとめていく。
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Causes of Carryover |
平成31(令和元)年度中にネパールへの追跡調査が実施できず、同時にネパール山間被災地復興のキーパーソンの招聘も叶わなかったため、外国旅費および人件費・謝金分 に残余(453,537円)が生じた。ネパールについては令和2年度にあらためて調査を実施する計画であり、この繰越額はその旅費および人件費・謝金分 に充当する。
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Research Products
(6 results)