2020 Fiscal Year Research-status Report
多重被災からの復興と地方創生のための地域キャリア教育プログラムの開発
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17K12630
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
河村 信治 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80331958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 康 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 教授 (00251348)
玉川 英則 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (10171886)
市古 太郎 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (10318355)
永田 素彦 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (60271706)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 震災復興 / 地方創生 / 多重被災 / 地域キャリア教育 / シャレットワークショップ / フォトランゲージ / トレイル / サステナブルツーリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
①COVID-19禍により野田村シャレットワークショップ(CWS)合宿は実施できず、八戸高専・東京都立大学・工学院大学・京都大学の野田村CWSメンバーは6/30、7/14、7/28、9/1と4回のZoom(オンライン)ミーティングを重ね、この状況下で可能な活動をそれぞれ実施した。唯一野田村訪問が可能であった八戸高専チームは、野田村CWS2019の「写真de温故知新」のプログラムをベースに、参加型学習用写真ツール(フォトランゲージ)の作成を進めた。このうち野田村の漁業についてのイメージと理解を深める地域キャリア教育プログラム向けのフォトランゲージツールを簡易的に試作し、これを用いてCWSメンバーを中心とする学生たちと簡単なグループワーク実験(東京とはオンライン)を実施し、その効果について調べた。また工学院の学生メンバーは、野田村の複数の農業者に遠隔インタビュー(電話またはLINE)を実施し、復興過程におけるコミュニティのネットワークについて調査した。都立大グループは過去の野田村CWSの成果を整理した。年度末の3月18日には、今年度の活動まとめのオンラインゼミを開催し、CWSメンバーに加え野田村からゲストとして副村長、未来づくり推進課および総務課の職員が参加し、今年度の成果の報告と情報交換を行った。 ④復興研究交流セミナーとして、3月10日弘前大学地域未来創生センター主催のシンポジウムに当研究メンバーである八戸高専と京都大学の教員がパネリストとしてオンライン参加し野田村での活動を報告した。また3月11日に野田村で震災10年目の慰霊祭の後、当研究メンバーが共同代表を務める復興支援ボランティアネットワークと野田村関係者とで、「復興ミーティング」を実施した。3月末には同ネットワークの共著で『東日本大震災と災害ボランティア:岩手県野田村、復興への道』を大阪大学出版から発行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の本来の最終年度であった2020年度はCOVID-19の影響により研究活動に大きな制約を受けることとなった。主要メンバーである都立大学、工学院大学および京都大学の学生および教員スタッフは、2020年春以来野田村を訪問することができない状況が続いている。 本研究の中心的な活動である野田村シャレットワークショップ(CWS)は、東日本大震災発災後の2011年から2019年まで毎年続けてきたことで、野田村役場や商工会青年部および漁業者、農業者らとの交流・協働を醸成してきた。とくに本研究課題の期間である2017年度以降は、単なる震災復興というより、人口減少と繰り返す災害の中でどのように持続可能な地方の地域づくりに向き合うかというテーマに民官学連携で取り組むプロセスを深化させてきたといえる。本研究課題のこれまでの成果は、主にこの分野での積み上げによる部分が大きい。また2020年度の研究では、地域キャリア教育の実践につながる教材づくりのプロジェクトに着手できた。 一方、本研究課題のもう一つの軸である2015ネパール・ゴルカ地震の山間被災地ランタン村の復興プロセス追跡調査については、2017年度の第1回調査以来実施できていない。現地訪問のためのネパール国内での移動(往復行程でバス3日+徒歩1週間)に時間を要するため、研究旅行に相応の期間を要することから日本国内の現地支援団体と本研究代表者とのスケジューリングが進まないまま2回目以降の現地訪問と交流を実施できていなかったところに、COVID-19禍によりネパールへの出入国自体がままならなくなってしまった。 これに付随して国際的な「復興交流プログラム」については、当初の企画通りの実現はたいへん難しくなってきたと言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究活動の停滞から、当研究期間の1年間(2021年度まで)の延長を願い出た。 1.2021年度もCOVID-19の蔓延状況を見ながらの対応にならざるを得ない面が続くが、第一義には野田村CWSを継続実施し、地域貢献と学生教育目的のバランスを取りながらプログラムを進化させ、地域主体の復興むらづくりを支援していく。具体的な課題としては、①一次産業の後継者育成は野田村の地域復興の大きな課題であり、地域キャリア教育をねらいとしたフォトランゲージ教材の開発に取組む。②2021年度から現在唯一の野田村「写真de温故知新」プログラムの発展的実践に取り組んでいく。 2.ネパール・ランタン村の訪問調査は、状況が許せばぜひ実施したいと考えるが、現実的には2021年度中には極めて難しいと予想される。住民主体でコミュニティと伝統的生業の維持に配慮しつつ、トレッキング観光による地域復興を進めようとしてきたところでの多重被災としてのCOVID-19の影響は非常に懸念されるところであり、現地からのSNS等による情報発信に留意し、その動向追跡の可能性は追及していく。 3.ネパールの山間被災地の復興との共通点を見出しつつ、展開し始めた研究テーマとして、東北地方太平洋沿岸を結ぶトレイルとサステナブルツーリズムの動向について調査を進める。 以上の通り、COVID-19の蔓延状況をみながら判断せざるを得ない面があるが、これも多重被災の1つととらえ、その復興プロセスも重ねながらアクションリサーチとして研究成果をまとめていく。
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Causes of Carryover |
本研究課題は災害被災地でのフィールドワークや現地でのワークショップの比重が大きく、研究予算に占める旅費の割合が大きい。本来の最終年度であった2020年度はCOVID-19の影響により、本研究の中心的イベントである夏と春2回の野田村CWS合宿は中止、研究代表者によるネパール調査も実施できず、学会での研究発表もほぼオンラインでの開催となった。このため研究代表者、研究分担者ともに研究活動の停滞と、前々年度からの繰越し分を含め多額の助成金の残余を生じさせることとなり、研究課題のまとめもままならない状況であったため当研究期間の1年間(2021年度まで)の延長を申請した。 2021年度においてもCOVID-19の蔓延状況次第で弾力的に計画を修正しながらの研究計画にならざるを得ないが、基本的には野田村CWSを核とする計画である。ただし野田村に一堂に会するのが難しい場合、少数名ずつ何度も野田村を訪問して研究活動を重ねる方法等が想定される。また首都圏や公共交通の混雑を避け、レンタカーなど代替交通の費用が想定される。このため研究分担者への助成金配分は国内旅費主体であることに変わりない。 研究代表者の外国旅費は、今後の状況改善による渡航可能性は担保する。しかし研究計画の修正に伴い国内でのトレイル調査やCOVID-19の観光業への影響調査等の機会が増えた場合、国内旅費への変更の可能性が想定される。
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Research Products
(6 results)