2019 Fiscal Year Research-status Report
線虫の神経細胞に対する細胞核自動アノテーションのための人工知能技術の開発
Project/Area Number |
17K12712
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
広瀬 修 金沢大学, 生命理工学系, 助教 (30549671)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生命画像 / 点群マッチング / 人工知能 / 機械学習 / ベイズ推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
線虫は原始的な脳を有しており,その全神経細胞レベルでの活性の定量化は脳における情報処理のメカニズム解析のステップとして非常に重要である.代表者らは線虫の全神経細胞規模の撮影データから神経細胞活性の自動定量化をすでに実現している.一方で撮影された神経細胞核が解剖図上のどの細胞なのかを決定すること(アノテーション)は,神経細胞1つ1つの役割を理解する上で不可欠であるものの,非常に難しく,現状では専門家の労力を要する課題である.本研究では,神経細胞核撮影データに対するアノテーションを高精度で自動化することを目指している.他の研究グループによる先行手法が十分な精度が達成できない主要な原因として,既にアノテーション済みの撮影データから神経細胞配置図を作成する際に細胞位置のばらつきの原因となる線虫の撮影時の体位の違いと細胞位置の個体差を区別していないという点が挙げられる.その結果,アノテーションの手本となるべき神経細胞配置図が線虫の体位変化や個体差による細胞位置のばらつきを含んだ状態で計算されることになり,アノテーション精度の低下を招く.今年度は,計画に基づき,作成した神経細胞配置図を基礎として神経細胞の自動アノテーション手法の開発を行った.アノテーションを解く上で Coherent Point Drift (Myronenko et al., 2010) と呼ばれる非線形点群マッチング手法を基礎としたが,より精度を向上させるため,Coherent Point Drift の改良に注力した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,細胞配置図中の神経細胞群と撮影データ中の細胞群の距離の総和を最小にするような対応関係を求めることで自動アノテーションを行う.アノテーションを自動化させるための基礎として, Coherent Point Drift (CPD) [Myronenko et al. IEEE TPAMI 2010] と呼ばれる非線形点群位置合わせ手法を採用した.アノテーション精度をより向上させるために,今年度は主に CPD の改良に取り組んだ.改良の結果,位置合わせの精度を大きく向上させることに成功した.この研究をまとめた論文が,人工知能・機械学習分野で最も権威があるとされる国際誌 IEEE TPAMI 誌 (Impact Factor=17.7) に掲載されることとなった.そのため,研究の進捗を「おおむね順調に進展している」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,当初の予定通り,個体差情報を含む神経細胞配置図作成と自動アノテーションを同時に行う統合手法の開発を行う.両者を同時に行うための尤度関数の定義によっては解析解を持たない積分が含まれる可能性があるため,変分ベイズ推定 (Bishop et al. 2007),や MM algorithm (Lange et al., 2000) を基礎とした近似最適化手法の開発を行う.精度が不十分であれば,より精密な尤度関数を設計しその尤度関数に適した最適化手法の開発も行う.
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Causes of Carryover |
残額は25,000円ほどでほぼ予定通り使用することができた.次年度使用額が生じた理由は,物品購入前の費用の不確定要素によるもの.残額は次年度の予算を補強するものとして使用する.
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Research Products
(3 results)