2018 Fiscal Year Research-status Report
経時加法混色現象を利用した不可視パタン投影技術の開発
Project/Area Number |
17K12725
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
藤本 雄一郎 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30755971)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 継時加法混色 / プロジェクタ / 知覚 / 食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,予備実験によりプロジェクタにより2色の色を高速に切り替え投影した際の継時加法混色現象発生時に,投影対象面色との兼ね合いが人の知覚に与える影響を確かめた.その結果,投影する2色の内,投影対象面色からのLab空間における距離を可能な限り小さくとった場合,人に最も知覚されにくいパタン埋め込みが可能となるという傾向を確かめた. 当初考えていた仮説は,2色の色をLab色空間に変換した際に,投影対対象面色と中間色のなす線分に(可能な限り)水平である2色ペアが最も人に知覚されにくい,すなわち,2色の対象面色に対する距離の差の同一性を重要視していたが,それは必ずしも正しくないことが明らかとなった.加えて,これは,表示装置として,プロジェクタの代わりにディスプレイを使用した研究を含め,他の画像や動画にパタンを埋め込む既存研究が主張していたこととは異なる結果である.今後はこの予備実験を体系化した実験を行い,上記の仮説を体系的に明らかにして,国際会議に投稿する予定である.加えて,対象面色に対して,色座標系における人の知覚されない領域を明らかにすることで,継時加法混色現象発生時の構成色を動的に変化させるアルゴリズムを検討する予定である. 一方,この研究のために実装したプログラムを流用し,アプリケーションの一つとして,食品の見た目を,人にとって好ましいものに変化させるプロジェクタカメラシステムの提案を行い,国際論文誌1本,国際会議2本の投稿・発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の予備実験結果の体系化,および,ある投影面に対する最適な色ペア決定アルゴリズムの開発は本年度中に遂行する予定であった.予備実験において,得られた傾向が当初考えていた仮説と異なっていたため,一貫性のある解釈ができるようになるまで,実験を繰り返し行ったのがその一因である.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度より,当該研究に適切なエフォートをふれるような研究体制を整えた.さらに所属研究室の学生と連携することにより,効率的な実験およびシステム開発を進められる予定である. 当初の研究計画案では,継時加法混色を発生させる光投影により,3次元形状計測を行うことを一つの応用としていたが,ここ2年の他の研究機関の技術動向により,3次元形状計測技術はさらに成熟した.一方で,もう一つの応用として挙げていた,拡張現実感環境等におけるユーザの装着したヘッドマウントディスプレイのカメラから環境をトラッキングするための,環境への特徴量埋め込みの需要が相対的に向上したため,こちらを主の応用として見据え,今後の研究を行っていく.なお,この変更は研究の推進に技術的に大きな変更をもたらすものではない.
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Causes of Carryover |
本年度に実施予定であった実験,およびその結果を発表するための国際会議発表を見送ったため.この実験および国際会議発表は次年度遂行予定である.
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