2017 Fiscal Year Research-status Report
A Research of Indoor Comfort Management System Using IoT Technology
Project/Area Number |
17K12789
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
松井 加奈絵 東京電機大学, 理工学部, 助教 (30742241)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IoT / 室内快適性 / スマートホーム / データ解析 / アーバンデザインシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,WHOの定めた住環境の4 つの理念である(1)安全性,(2)保健性,(3)利便性,(4)快適性,をIoT(Internet of Things)技術を利用して実現することを目的とし,居住空間における快適性向上システム構築を実施する.これまでHome Energy Management System(HEMS)やスマートホームはエネルギー消費の効率化,居住空間の快適性向上,セキュリティ,コミュニケーションの円滑化の目的としたサービスやアプリケーションの提供が主であった.しかしながら,住居内で人は連続的な行動を取るものであり,且つ屋内行動における各行動にとって快適性はそれぞれ異なる.つまりは,時系列,また行動別の快適性の定義が必要となる.本研究では住居内の多様な快適性を定義するとともに,IoT 技術によってこれらの理念を具体化したサービスの提供を目指す. 研究背景としてWHOの定めた住環境の理念の実現だけでなく,日本の住民の平均在宅時間は15時間と長く,居住環境のクオリティを上げることはQoL(Quality of Life)の向上に貢献することが挙げられる.また,SOHO(Small Office・Home Office)など多様な働き方によって居住空間を仕事場となる場合,室内行動は住環境としてのみならず,仕事の達成率の向上率が指標となるような場合も想定される.このような多様なニーズの中,本申請書はIoT 技術,具体的にはデータの取得,解析,情報提示,家電制御を行うことで,居住空間における様々なシーンの総合的な快適性,利便性向上を行う.そのためには,居住空間を時系列の事象と捉え,連続的な行動に対応可能なシステムが必要となる.また,LEED など居住空間の快適性認証制度にIoT技術を取り入れることの必要性を主張することで,IoT技術と住環境の融合を狙う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの進捗状況として以下の項目別に述べる. (1)技術による状態変化が可能な居住空間の定義:居住空間における状態変化は家電使用の関連性が高い.そのため,本研究では電力消費量のから居住空間の状態変化を推測するための解析を実施した.データとして,東京都,埼玉県内で取得した3秒値および5分値の電力消費量データを用いた.それらのデータから起床,外出,くつろぎ,入眠といった行動を推定し,それぞれの状態にとっての快適性(起床時の適切な照明・温湿度)を定義した. (2)対応するセンシング手法およびデータの整理:上記の快適性を測るためには,電力消費量だけでなく,室内温湿度照度が必要となるため,それらを収集を実施し,データの信頼性の高さや各種センサから得られるデータフォーマットの違いを考慮したデータベースの作成を実施した. (3)情報提示手法,家電別自動制御手法の定義と実装:ネットワーク対応可能な照明,空気清浄機,空調において,通信プロトコルおよび制御プログラムを実装し,センサデータから分岐する各種制御を実行,実験を実施した. (4)居住空間における定量的,定性的評価を目的とした実証実験:東京都,埼玉県内においておおよそ30箇所にセンサを設置し,データの収集を行っている. (5) LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)やWELL(WELL Building Standard)のように居住空間およびワーキングスペースの認証制度との連携:認証制度においてIoTデータのような時系列的に高密度なデータを用いることができるのかをジョージア工科大学およびLEEDのLEED-ND認証のレビューを指揮してきたU.S. Green Building CouncilのEliot Allen氏を交えて国際ワークショップにて会議を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で述べた5項目に対応し,各項目を目的達成のために更に加速していく.まず,項目(1):居住空間の状態変化を行うためには現状の状態をIoTデバイスによって得られるデータから理解し,快適性が認められない場合はどのような変化が必要になるのかを定義する.具体的には,室内環境を表す温湿度・照度データから適切な状態にするためにどのような情報提供もしくは制御が必要になるのかをまとめ,データベース化する. 項目(2):これまで様々なセンサから得られたデータを元に(a)屋内センサの適切な配置,(b)各種センサデータの適切なデータフォーマットへの変換をし,提案する.項目(a)に関しては,これまで取得したデータから異常値・欠損値を解析し,それらのデータの発生状態を明らかにする.項目(b)に関してはばらつきのあるデータフォーマットを扱うための変換プログラムの開発を実施する. 項目(3):使用頻度の高い空調,照明に関しては適宜制御手法を調査し,実証実験にて可用性を確かめる. 項目(4):項目(3)で実装した手法について実証実験を実施する.現在定常的に行っている実証実験に加え,快適性の著しく下がる夏期・冬期に実証実験を実施する. をし,提案する.項目(a)に関しては,これまで取得したデータから異常値・欠損値を解析し,それらのデータの発生状態を明らかにする.項目(b)に関してはばらつきのあるデータフォーマットを扱うための変換プログラムの開発を実施する 項目(5)LEEDやWELLのように居住空間およびワーキングスペースの認証制度との連携:Elsevier社で発行しているSmart Cityシリーズにおいて新しい本を執筆する上で,どのようにIoTデータが認証制度に用いられるべきなのかを定義する.
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Causes of Carryover |
実証実験により実データの収集を行うことができたためデータ購入を行わなかったため。
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