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2018 Fiscal Year Research-status Report

新種の海藻分解菌Myt-1株による廃棄海藻の減容化と持続可能な再活用法の開発

Research Project

Project/Area Number 17K12848
Research InstitutionUniversity of Toyama

Principal Investigator

酒徳 昭宏  富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 講師 (20713142)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords海藻分解菌 / バイオマス / 廃棄海藻 / 多糖分解酵素 / アルギン酸リアーゼ
Outline of Annual Research Achievements

食品加工場などから年間数万tが廃棄されている海藻残渣や, 沿岸域に漂着する流れ藻の持続可能な有効活用法の開発は重要な研究課題である。申請者は, 複数種の海藻藻体を分解することができる新種のSaccharophagus属細菌Myt-1 株を単離することに世界で初めて成功した。本研究の目的は, Myt-1 株が産生する海藻分解産物の有効性を検証し, Myt-1 株から海藻多糖分解酵素をクローニングしてそれらの特徴を解析することである。平成29年度には, 各種藻体に対する分解活性の確認とその分解に必要な最小栄養素の探索に加えて, 富山湾における海藻分解菌の分布状況を, 分子生物学的手法を用いて検出する方法を確立した。平成30年度の実施状況について以下に報告する。
1. 次世代シークエンサーを用いた多糖分解酵素遺伝子の網羅的検出を行った。その結果, 海藻藻体を構成するアルギン酸やセルロースなどの多糖類を分解することができる酵素遺伝子を93種類も保持していることが明らかとなった。これらの多糖分解酵素は, 海藻分解だけでなく, 医薬や農業など様々な産業でも利用されていることから, 新規性の高い酵素の産業への応用に期待が持たれた。2. Myt-1株が保持する多糖分解酵素のうちの1つであるアルギン酸リアーゼ (AlgMytE) の大量発現系の構築とその発現産物の特徴を解析した。その結果, AlgMytEはこれまでに4報しか報告されていないPL family18に属することが考えられ, 新規性の高い酵素であると予想された。また, AlgMytEの至適温度とpHはそれぞれ45℃と8.0と他のPL family18の酵素と類似していたが, 耐塩性が高く, 様々な界面活性剤に対しても高い耐性も持っていた。この結果から, 新規性の高い洗剤の開発につながる可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

申請者は, 上述のように複数種の海藻藻体を分解できる新種の細菌Myt-1株を, 富山湾の海底堆積物から単離した。そこで, 平成29~31年度にわたる本申請では, 廃棄海藻の持続可能な有効利用を目指して, まず, Myt-1株を各種海藻藻体を含んだ培地中で培養した際の分解能を調べた。その結果, Myt-1株は褐藻, 紅藻, 緑藻全てを分解することができた。このように, 1種類の細菌株が複数種の海藻藻体を分解できる報告はこれまでにない。この結果から, Myt-1株は海藻藻体を構成する各種多糖類の分解酵素を複数持っている可能性が強く示唆された。そこで, Myt-1株のゲノム中に存在する多糖分解酵素遺伝子を次世代シークエンサー (miseq) を用いて網羅的に検出することを試みた。その結果, 驚いたことに, Myt-1株は93種類もの多糖分解酵素遺伝子を保持していることが明らかとなった。今後これらの酵素のクローニングと特性解析を進めることで, 様々な産業に利用できる可能性が考えられ, それらに強い期待が持たれた。本年はその第一歩として, その中でも新規性の高かったアルギン酸リアーゼ (AlgMytE) について, 大量発現系の構築とその発現産物の特徴を解析した。その結果, AlgMytEはこれまでに4報しかないPL family18に属しており, 塩化ナトリウムと界面活性剤に対して高い耐性を示した。これらの結果から, AlgMytEを含んだ新規性の高い洗剤の開発に期待が持たれた。

Strategy for Future Research Activity

平成31年度は, 平成30年度に大量発現系を構築した新規アルギン酸リアーゼAlgMytEについて, さらに詳細な特性解析を行う。具体的には, 各種金属イオンに対する耐性の確認とAlgMytEでアルギン酸を分解した際に得られる分解産物をTLCを用いて検出し, それらの有効利用の可能性について考察する。また, AlgMytEの熱力学的反応速度についても解析する。さらに, 富山湾における海藻分解菌の群集構造の季節性や周年性を検証するために, 平成29年度に確立した方法で引き続きモニタリングを行う。

  • Research Products

    (3 results)

All 2018

All Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Newly isolated bacterium Tenacibaculum sp. strain Pbs-1 from diseased pearl oysters is associated with black-spot shell disease2018

    • Author(s)
      Akihiro Sakatoku, Takuya Fujimura, Michiko Ito, Seigo Takashima, Tadashi Isshiki
    • Journal Title

      Aquaculture

      Volume: 493 Pages: 61-67

    • DOI

      10.1016/j.aquaculture.2018.04.049

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Discovery and biogeochemistry of asphalt seeps in the North Sao Paulo Plateau, Brazilian Margin2018

    • Author(s)
      Kai Jiang, Jing Zhang, Akihiro Sakatoku, Shota Kambayashi, Toshiro Yamanaka, Toshiyuki Kanehara, Katsunori Fujikura, Vivian Helena Pellizari
    • Journal Title

      Scientific Reports

      Volume: 8 Pages: -

    • DOI

      10.1038/s41598-018-30928-2

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Presentation] 新規海藻分解菌Zobellia sp. TY-1株の単離とキャラクタリゼーション2018

    • Author(s)
      山下陽也, 田中大祐, 中村省吾, 酒徳昭宏
    • Organizer
      環境バイオテクノロジー学会2018年度大会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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