2018 Fiscal Year Research-status Report
Research and development mechanism of environmental protection technology
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17K12858
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤井 秀道 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (20731764)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 環境イノベーション / 特許データ / 要因分解分析 / 生産性 / 研究開発優先度 / 持続可能な発展 |
Outline of Annual Research Achievements |
二年目の研究活動では、昨年度に構築したデータベースの利活用を行い研究論文執筆を中心に進めている。特に生産関数アプローチとLog mean Divisia indexによる要因分解分析法を特許データに適用することで、研究課題へ取り組んでいる。本年度の研究実施状況とその成果を下記3点にまとめる。 1. 特許出願件数の増加が著しい中国において環境技術特許の出願行動に着目し、環境技術の特許出願数を(1)研究開発優先度と(2)研究開発規模の要因に分解可能な手法を適用することで、研究開発戦略の変化について考察を進めた。分析結果より、中国で出願されている環境保全技術特許では、大気汚染、水質汚染、エネルギーなどの技術別に研究開発優先度の違いが存在している点が明らかとなった。これらの研究成果は、国際雑誌であるTechnological Forecasting & Social Changeに査読付き論文として公表している。 2. 環境保全活動の効率化に貢献すると考えられる人工知能技術に焦点を当て、人工知能技術に関連する特許出願行動が、世界各国でどの企業によって牽引されているかを分析した。加えて、特許出願行動における要因分解分析を適用し、人工知能技術別に研究開発優先度の違いが存在している点を明らかにした。研究成果は国際雑誌であるEconomic Analysis and Policyに査読付論文として公表している。 3. 世界的な都市化が急速に進む中で、都市における気候変動対策は持続可能な発展を達成する上で必要不可欠である。こうした背景から、本研究ではOECD加盟国の276都市圏を分析対象とし、都市における経済発展と人口当たりのCO2排出量の関係性について、環境クズネッツ曲線のアプローチを応用することで分析した。研究成果は国際雑誌であるApplied Energyに査読付き論文として公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度に構築した大規模な特許データベースの活用を行うことで、中国における環境保技術特許や人工知能技術の研究開発に関する要因について明らかにした。2018年度の主な研究成果は、査読付国際論文9編であり、そのうちJournal Citation Reportの収録対象となっている国際雑誌が6編であることから、多くの読者が見込まれる。一方で、予定していた企業アンケートの実施が遅れていることから、本年度の研究進捗状況としては、おおむね順調に進呈していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、引き続き構築したデータベースを活用し、要因分解分析による研究開発戦略の要因分解分析や、生産性分析アプローチによる生産性評価を行うことで、技術特性の異なる環境保全技術の開発行動メカニズムの分析及びその技術開発が生産性に与える影響について研究を進める。加えて、環境保全技術特許の出願行動に着目し、時系列データ分析から特許出願の構造変化が起こっている時期を分析する。構造変化が発生した前後の期間で、どのような政策や経済的影響が生じているかを考察する。
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Causes of Carryover |
本年度に実施予定であった企業アンケートについて、その実施を翌年度に延期したことが主な理由である。延期を行った理由として、アンケートデータを活用した分析フレームワークの構築の理論的な背景とその適用方法に修正が必要になった点が挙げられる。これら変更点に伴い、調査票の設計において修正が必要となったことから、アンケート調査を次年度へ延期している。 アンケート調査が翌年度に延期されたことに伴い、物品、旅費、謝金等のアンケート調査に関する予算の執行も次年度に延期することとなった。 次年度の使用計画としては、本年度に実施予定であった企業アンケート調査の実施を最優先で進めるとともに、昨年度構築した特許データベースを活用した研究活動に取り組み、論文の執筆を行う。
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Research Products
(17 results)