2017 Fiscal Year Research-status Report
ヒト口腔内の甘味感覚の変容が摂食調節に与える効果の検証
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17K12922
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
鍛島 秀明 県立広島大学, 人間文化学部, 助教 (40714746)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 甘味 / ギムネマシルベスタ / ラクチゾール / 胃内容排出 / 血糖調節 / 食欲 / 摂食調節 / 個人差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2つの実験を行った。実験①では,濃度の異なるラクチゾール溶液で口腔内を刺激した後,水で口腔内へ刺激し,その際の甘味強度および嗜好度を測定・評価した。健康な若年成人23名が実験に参加した。被験者は,座位で2分間の安静後,濃度の異なる10種類のラクチゾール溶液(50,100, 150, 200, 250, 300, 400, 500, 750, 1000 ppm)15mLのいずれかを30秒間リンシングした。その後,30秒間隔で水15mLを口に含み10秒間リンシングした。主観的な甘味強度および嗜好度は視覚的評価法を用いてリンシング直後に評価した。主観的な甘味強度は,ラクチゾール溶液の濃度上昇に伴って増加し,300 ppmで定常となった。主観的な嗜好度は,ラクチゾール溶液の濃度上昇に伴って増加し,250 ppmで定常となった。 実験②では,300 ppmのラクチゾール溶液を口腔内へ刺激した後,濃度の異なるスクロース溶液で口腔内を刺激し,その際の甘味強度および嗜好度を測定・評価した。被験者は,座位で2分間の安静後,水あるいは300ppmのラクチゾール溶液15mLを30秒間リンシングした。30秒後に再度,水15mLを口に含み口腔内を10秒間リンシングし,濃度の異なるスクロース溶液(5,10,15,20,30%)15mLを口に含み10秒間リンシングした。評価項目は実験①と同様とした。スクロース溶液刺激時の主観的な甘味強度は,いずれの濃度においても,ラクチゾール条件が水条件(対照)に比べて有意に高かった。本年度は,次の3点が明らかとなった。1:ラクチゾール溶液の濃度と甘味強度の量反応関係は存在する。2:甘味強度はラクチゾール溶液の濃度が300 ppmで定常となる。3:ラクチゾール溶液の口腔内刺激後,スクロースの濃度に関係なく甘味強度を高めることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,ラクチゾールの溶液濃度が水および砂糖水の甘さと嗜好に与える影響を検討する計画であった。予定通りの実験を遂行し,次年度以降に行う実験の基礎資料を得ることができた。したがって,研究全体としては,おおむね順調に進展していると考えられる。。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の研究室では,甘味抑制物質である「ギムネマシルベスタ」溶液を用いて口腔内の甘味受容体を人為的にブロックし,グルコース(糖質)およびアスパルテーム(人工甘味料)摂取後の生理応答を明らかにしてきた(Kashima et al. 2017)。一方,実際の食品を用いた実験は行っていない。そこで,実験①では,食事の前にギムネマシルベスタ溶液で口腔内をリンシングし,ヒトの甘味受容体が糖質を中心とした食事摂取時の胃内容排出,糖・インスリン反応,食欲調節に果たす役割を明らかにする。実験②では,ヒト口腔内の甘味受容体が摂食調節に果たす役割の解明を試みる。具体的には,食事の前にギムネマシルベスタ溶液で口腔内をリンシングし口腔内の甘味受容体を人為的にブロックした後,ビュッフェ式の食事を提供し,食行動パターンを評価する。
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Causes of Carryover |
研究費はおおむね計画通り使用した。残額は来年度の実験被験者への謝金に使用する。
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Remarks |
Facebookでの公表のため,タイトルはなし。
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