2017 Fiscal Year Research-status Report
幼稚園給食による食育の効果-卒後10年間の追跡調査-
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17K12925
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
大瀬良 知子 神戸女子大学, 家政学部, 客員研究員 (30751169)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非認知的スキル / 主観的健康観 / 幼児期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、幼児期において学校給食を活用した食育の効果を検証するため、食に関する非認知的スキルに着目して、過去の基礎データを生かして現在までの10年間の追跡調査を行うものである。 一般的に学校で児童生徒が客観的に評価される際に使われる指標はテストの点数である。また、頭の良さとされる知能指数はIQテストで測られる。これらの指標が、我々を評価してきた。しかし、近年、非認知的スキルと呼ばれる新しい評価指標が注目を集めている。非認知的スキルとは、社会経済学や心理学の分野では、学業、進路決定等への影響が示唆されている。具体的には、自尊心、共感性、協調性、粘り強さ、社会性など、幅広い要素が含まれている。言い換えるとこれらは全て、幼児・児童・生徒の心情や意欲に関連するものと理解でき、非認知的スキルと言葉は異なるが、これまでの日本の教育現場で重要視されてきた心情・意欲・態度と重複するものと考えることができる。現在、新しい能力として世界で注目されているが、日本ではこれまでも大切にされてきた概念と考えられる。 私たちはこれまで、どのような意識や態度が食事と関連しているのかを検討してきた。特に、「食べ物への興味関心」と「食べ物を尊重する心」について検討を重ねてきた(以下、食に関する非認知的スキル)。そして、冒頭に示した目的を達成するため、まず10年間の幼稚園児のデータの分析を実施した。その結果、10年間の幼児の変化について、身長や体重、好き嫌いの有無や食に関する非認知的スキルで大きな変化は見られなかった。一方、10年間の幼児の食に関する非認知的スキルの高低と食習慣・食行動との間に有意な関連が認められた。食に関する非認知的スキルの高低は食習慣や食行動の全ての要因と関連がある可能性が示唆された。今後、幼児の習慣や行動が継続しているのか現在の食意識が優先されるのかを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は2つの調査を行うことを主な計画としていた。そのため、まず、調査を実施するためのアンケート項目の選定や倫理委員会承認を経て調査を開始した。 調査1として、幼児期の食習慣の継続性を確認するため、過去に在籍していた園児(現在は小学生・中学生・高校生)約900名とその保護者を対象にアンケート調査を郵送にて配布した。また、調査2として、研究データを一般化するため、便宜的抽出法により、介入園に在籍していない小学生・中学生・高校生、約1,200名とその保護者にも郵送にて介入園に在籍していた児童・生徒とその保護者に配布したものと同様のアンケート用紙を配布し調査を行った。回収率が想定を下回ったが、分析を行うには十分な数を確保できたと考えているため、追加の調査などは実施しない予定である。そして、調査1、2により得られたデータ、過去に取得済みのデータの整理や分析を行った。 このように、本年度予定していた通り、2つの調査によるデータの収集とデータ整理、さらに一部のデータの解析を行うことができた。従って、研究は計画通り概ね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究に関して得られたデータを詳細に分析いく予定である。現在まで、過去のデータの整理、そのデータの分析、全体の中学生の主観的健康観に対する影響を調べたところである。また、小学生の主観的健康観に対する影響を確認しているところであるので、今後はそのデータの公表に向けての作業を行う予定である。さらに、非認知的スキルに対するライフステージごと(小学生・中学生・高校生)の分析結果も公表に向けて準備する予定である。 また、介入園とその他の園に通園していた者との比較や介入園に通園していた幼児が現在どのような食習慣を行っているのか、食意識の継続性についても検討が必要である。さらに、私はこれまで、幼児と母親の食意識や食態度の関連について研究を実施してきたので、本研究のデータをその視点でも分析したいと考えている。 そして、現在の児童・生徒に幼児期の食育や給食の内容について記述して頂いているので、その部分についてはテキストマイニングの手法を用いて分析し、どのような食育や給食の内容が将来(現在)の記憶に繋がっているのかを確認したい。 全体的な分析と細かな分析を行うことで、将来の健康に与える影響や要因、それらにどの程度幼児期の給食や食育が関与しているかどうかを明らかすることができると考える。 そして、得られた結果は一般の保護者や児童・生徒が読んでもわかる内容へと書き換え、データの開示を希望している被検者に対して個別に返却する予定である。また、協力を得た対象校の教諭にも配布予定である。そして、今回の調査の結果が、被検者のみでなく一般の児童・生徒にも伝わるような工夫を考え、国民が将来健康になるための一助となるように努めたい。
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Causes of Carryover |
データの入力、整理のために予定していた人件費が少ない経費で実施できたため、本年度の予算を削減することができた。また、アンケート郵送に関わる通信費については、研究計画の段階では返信用封筒に切手を貼り送付する予定で金額を見積もっていたが、料金受取人払を利用したため、大幅に予算を削減することができた。 次年度は今年度得られたデータの分析、まとめを行う作業が主となるため、成果の発表に必要な経費として使用したい。さらに、研究協力者への返却資料としてリーフレット作成を予定しているが、その質の向上に向けて、画像編集ソフトや上質用紙購入に使用できればと考えている。
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Research Products
(2 results)