2018 Fiscal Year Research-status Report
人々の交流の場としての理想的なスポーツ環境の在り方の検討
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17K13143
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Research Institution | Sendai University |
Principal Investigator |
高橋 徹 仙台大学, 体育学部, 講師 (30721550)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プラグマティズム / 民主体育 / 体育 / 戦後 / コミュニティ / 市民性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の当初の計画は、研究初年度に行った(1)スポーツ環境の問題点を指摘する議論の整理、および(2)プラグマティズム思想におけるコミュニティ形成に関する議論の把握の2点を踏まえた上で、(3)人々の交流の場としてのスポーツ環境の原理モデルの構築を行うことであった。 (1)(2)については今年度も継続して研究を進めてきており、また研究初年度中に検討の必要性が生じた『小学校・中学校学習指導要領』で明示された「主体的・対話的で深い学び」という教育的観点については、新たに『高等学校学習指導要領』の内容も含めた形で本研究課題との関連について検討を進めている。 (3)については、計画していたスポーツ環境の原理モデルを構築することができず、現状は文献の整理とその内容の考察に止まっている。ただし、今後の研究の方向性として、社会の中間領域としてのスポーツ環境の意義の検討、およびスポーツ環境と市民性教育との関連性についての検討の必要性を見出すことができた。したがって、次年度はこれらの課題を明らかにすることによって、本研究の最終的な目的であるスポーツ環境整備の基礎となる理念の解明、およびその理念の提案を行いたい。 研究成果の公表としては、本研究の成果の一部を援用する形でシンポジウムの企画提案を行い、その報告書が『体育・スポーツ哲学研究第40巻第1号』にて「学校体育で育てる身体を考える―(1年目)学校教育の原則と体育の役割―」として掲載された。また、当該シンポジウムの2年目に当たる日本体育・スポーツ哲学会第40回大会シンポジウムの企画内容においても研究成果の一部を活用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は計画通りに研究を進めることができず、当初の予定と比べ計画に遅れが生じた。特に今年度の目標としていた、コミュニティ形成に関する議論をスポーツ環境の議論に適用することでスポーツ環境の原理モデルを構築するという課題については、十分な成果を挙げることができていない。ただし、今後の研究の方向性として、プラグマティズム思想におけるコミュニティ形成に関する議論をもとにスポーツ環境に関する考察を行ったところ、社会の中間領域としてのスポーツ環境の意義を明らかにするという課題を抽出することができた。またそれと併せて、スポーツ環境と市民性教育との関連性について検討することの必要性も見出すことができた。 なお、今年度までの研究の成果公表の累計として論文2点、口頭発表2回の成果発表を行った。また、その成果の一部を援用する形で、書籍の出版1点、体育・スポーツ関連雑誌への論文寄稿2点、シンポジウムの企画提案2点を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は計画に遅れが生じてしまったため、最終年度である次年度には、複数の学会での研究発表とともに複数の学会誌への論文投稿を予定している。本報告書作成時点で、既に複数の国内学会での研究発表をエントリー済みであり、研究の進捗状況に応じてさらに発表の機会を増やしていくことを考えている。また、それらの内容をまとめる形で論文の作成を行っていく予定である。 計画の遅れを取り戻すために、当初は今年度中に計画していた「人々の交流の場としてのスポーツ環境の原理モデルの構築」を次年度に繰り越しして対応することとする。その上で、提示するモデルと研究初年度の「スポーツ環境の問題点を指摘する議論の整理」で明らかになったスポーツ環境に関する実例を比較検討することで、現在のスポーツ環境が抱える問題点を解消するための解決策を踏まえた形での、スポーツ環境整備の基礎となる理念を明らかにする計画である。
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Causes of Carryover |
今年度は計画に遅れが生じてしまい当初計画していた学会発表を実施できなかったため、次年度使用額が生じた。最終年度である次年度には、複数の学会での研究発表とともに複数の学会誌への論文投稿を予定している。本報告書作成時点で既に複数の国内学会での研究発表をエントリー済みであり、研究の進捗状況に応じてさらに発表の機会を増やしていくことを考えていることから、それらの学会に参加する際の費用として助成金の使用を計画している。また、学会発表の内容をまとめる形で論文の作成を行う予定であり、その作成費用として英文校正代金や論文投稿に掛かる費用に対しても助成金を使用する計画である。
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