2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study of Buddhist phenomena in the literary works of the Heian period
Project/Area Number |
17K13394
|
Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
春日 美穂 大正大学, 教育開発推進センター, 専任講師 (50734456)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 源氏物語 / 仏教 / 平安文学 / 中古 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の成果としては、過去2年間の成果を活かし、論文等の形で報告を行ったことである。 ①「『源氏物語』藤壺の死―臨終場面における光源氏との関わりから」においては、仏の入滅の表現の影響があるとされる藤壺臨終の場面について検証したうえで、そうした表現とは裏腹に藤壺の密通がクローズアップされていることを検証した。 ②「『源氏物語』朱雀院の譲位-清和天皇譲位宣命との関わりから」においては、朱雀院の出家について、御願寺建立や譲位状況の類似点から清和天皇とのかかわりがあることについて検証したうえで、朱雀院の光源氏、冷泉帝との連携の可能性を模索した可能性について検証した。 ③「『源氏物語』「賢木」巻の五壇の御修法―桐壺院の霊出現の可能性をめぐって―」においては、平安期の五壇法について整理し、『源氏物語』で五壇法が描かれる意味を検証したうえで、桐壺帝の霊の出現とかかわっていることについて検証した。 以上の過程においては、本研究によって作成したデータベースを使用しながら行った。 3年間の実績において、特に③の成果は、『源氏物語』が史実の仏教的行事を巧みに取り込んでいることがわかるものであり、平安時代の文学作品における仏教的な影響の一端が明らかになったものといえる。
|