2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study on methods for using natural conversation to effectively promote learner Noticing
Project/Area Number |
17K13482
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関崎 博紀 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30512850)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 会話教育 / 自然会話 / 気づき / 第二言語習得 / 中間言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、本研究の目的をより精緻に達成するべく、追加調査を実施した。そして、厳格に条件を統制したデータを分析し、自然会話の特徴に関する気づきについて、学習者の日本語力、及び、提示方法による異同を明らかにした。 研究期間全体を通じて、日本語による「自然な」会話を教材として利用するために適切な提示方法の解明を試みた。そのために、初級、初級後半、中級、上級と条件統制した日本語学習者各6名、合計24名に対して、単にビデオを視聴させる、文字化資料を見せる、特定の側面に注意を向けさせるという3種類の方法で自然会話を提示し、気づきを収集した。分析では、得られた気づきについて、その対象という観点から分類した。分類には、探索的に儲けた範疇である、非言語情報、音声情報、語彙、文法、会話の構造、話題という6つを利用した。さらに、気づき自体について、Schmidt(1990,1995,2001)を参照し、表層的な気づきと、言語の機構や機能などに関する深いレベルの気づきとに分類した。その結果、単にビデオを視聴させる方法では、3種類の提示方法の中で最も気づきが得られにくい一方、話題に関する気づきが他の方法に比べて多いことが分かった。文字化資料の提示で、特に語彙や文法について深いレベルで気づくのに有効であることが分かった。会話の特定の側面に注意を向けさせる方法は、最も多くの気づきを喚起した。深いレベルの気づきは全体として50%であったが、非言語情報、語彙、会話の構造に関しては、レベルを問わず相対的に低かった。そのため、これらの側面については補足説明などの教育的配慮が必要であることが示唆された。一方、初級であっても、一定程度の気づきが深いレベルで得られることも分かった。これらの情報は、教育現場で自然会話を利用する際の目安としうることから、日本語の会話教育で新たなパラダイムが開く端緒となる。
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