2019 Fiscal Year Annual Research Report
A comparative analysis of the spatiality of innovation and technological trajectories in the manufacturing industry
Project/Area Number |
17K13577
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌倉 夏来 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (00791831)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 技術軌道 / 製造業 / イノベーション / 立地履歴 / 化学産業 / 機械産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本の製造業大企業における技術軌道の空間性に注目し、そうした軌道の形成過程を、研究開発機能の立地履歴や技術蓄積の経路の観点から分析するとともに、研究開発活動によってどのようにイノベーションが実現されてきたかを、産業間の比較分析によって明らかにすることである。今年度は、①技術軌道の空間性とイノベーションの実現過程に関する事例分析、②日本企業による技術軌道の空間性とイノベーションの実現過程に関する産業比較分析を予定していた。 まず、①については、日本の工作機械企業を対象とした事例分析を行った。日本の工作機械の各企業は、大手を中心に海外生産や、海外販売拠点の拡充を進めている一方で、大半を占める中堅・中小規模の工作機械企業は、依然として国内での生産を中心としながら、細分化された市場においてシェアの維持・拡大に成功している。こうした中堅・中小規模の工作機械企業は、同産業の集まる中京地域だけでなく、他の地方にもみられる。とりわけ、富山県、石川県、福井県の北陸3県は、工作機械産業の集積として特徴的な特徴的な地域であるといえる。 また、②については、これまで分析してきた化学企業と工作機械企業の比較を行った。両産業は、技術的には欧米企業へのキャッチアップから事業が展開され、関連産業との地理的近接性や緊密な関係性により、独自の技術蓄積を重ねてきた。特に、北陸地域に集まっている中堅企業のように、ニッチ市場において強みを持つような企業の技術軌道は、付加価値の高い新製品の開発に成功してきた化学企業の事例における技術軌道と類似しており、大都市圏への研究開発機能の立地はあまり重要でなかった。
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