2017 Fiscal Year Research-status Report
パンジャーブ移民による文化空間の共有と文化的実践に関する人類学的研究
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17K13591
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
東 聖子 近畿大学, 国際学部, 講師 (00735102)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 南アジア系移民コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
カナダのトロント市近郊において、夏期及び春期の年二回調査を実施した。具体的には、移民支援組織によるプログラムへの参与観察、プログラム参加者へのインタビュー、南アジア系移民によるシニア・クラブの活動への参与観察、創設者や運営者へのインタビュー、コーヒーショップでの団欒やスィク教寺院グルドゥワーラーでの奉仕活動(セワ)への参与観察などを実施した。これらのフィールドワークは、これまでの予備調査より継続しているものが多く、参与観察・インタビューともにスムーズに行えるようになってきたことを実感している。 予備調査から引き続いている調査に加え、政治参画や選挙キャンペーン、候補者支援など南アジア系移民を中心とした政治活動の場でも参与観察及びインタビューを始めることができた。 上記カナダでの調査に加え、インドにおいても調査及び資料収集を実施した。カナダで自宅訪問やインタビューを実施してきた家族がインドへ一時帰国している間に、インドでの自宅訪問とインタビューを実施した。インド領パンジャーブにおける移民の研究を行ってきたアスウィニ・ナンダ教授との意見交換では、南インドの移民研究との接点や交流など、新たな展開の可能性について議論した。毎年多くの南アジア系移民の研究が出版されるため、関連書籍が集まる書店街にて資料収集を行った。今回入手したイギリス植民地期をまたぐパンジャーブに関する資料は、今後の研究に不可欠なものとなると考える。 カナダで開催された人類学の学会では、主に予備調査での進捗状況と今後の研究展望を発表した。関心の近い研究者からのコメントや質問があり、それらを通じて今後の研究への新たな視点を獲得できた。日本の南アジア研究者による研究会においても進捗状況や関連テーマの資料整理内容を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備調査を土台とし、質・量ともにより本格的な調査に移行できている。さらに、政治活動のあり方など、新たな調査内容にも着手することができた。この新たな内容は、宗教施設の運営や宗教施設での活動、シニア・クラブなどこれまで調査を実施してきた人々や組織とも縦横にリンクしていることがわかり、南アジア系移民の文化実践や文化空間が重層的に存在していることが、より明らかになってきたと考える。 以上のような調査経過とその分析により、本調査はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ある程度のデータが集まっているので、研究発表とその内容に対するレスポンスをもとに、論文執筆を念頭に置いた分析を進める。現在までのデータと入手している資料をもとに執筆可能なトピックを選定、論文にまとめる。それにより、どのトピックについての調査が不十分であり、残りの期間にどのような点に重点を置きながら調査をすべきなのか見極める。
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