2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K13622
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
関根 豪政 名古屋商科大学, 経済学部, 准教授 (60736510)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | WTO / 補助金 / 自由貿易協定 / TPP / 国家援助 / USMCA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、EUが締結した自由貿易協定(FTA)の補助金規律の内容をより適切に把握するために、EU域内の国家援助規制の実態や、バルカン諸国や東方諸国との間で締結した連合協定ないし安定・連合協定における国家援助規律の動向についての分析を進めた。特に後者は、WTOにおける従来型の補助金規律を維持させつつも、EU法における国家援助規律との調和を求め、かつ、国内制度をそれに揃えることを要請する二重規律構造を有している点に特徴がある。かかる構造は、WTO型の国際的な補助金規律と、競争法/国家援助を基礎とする国内規律の相互補完的な運用を検討する上での重要な検討題材を提供していると言え、その研究を進めた。 また、本年は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の締結に伴い、米国のFTAにおける補助金規律に部分的な進展が見られたことから、その点についての分析も試みた。より具体的には、非商業的援助がTPPと同様に導入された一方で、「禁止される非商業的援助」の概念も導入され、規律内容に拡大があることを把捉した。興味深いことに、新設の「禁止される非商業的援助」は、EUのFTAにおける禁止補助金と類似するものであることから、米欧間で補助金概念が部分的に収斂する傾向が確認されることを発見することができた。なお、これら以外についても、伝統的な補助金規律やサービス関連補助金についてのFTAにおける展開を追った。 これら本年度の研究の成果は、これまでの他国のFTAにおける補助金規律の動向に関する分析と併せて、総合的な分析成果として、『フィナンシャル・レビュー』に掲載する予定である(脱稿済み、2019年秋刊行予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EUが締結した自由貿易協定(FTA)における補助金規律を、EU域内の国家援助規制や、他国における非商業的援助(USMCA)と比較分析し、その発展状況と意義について検討した研究成果を2019年中にフィナンシャル・レビューに公表する(脱稿済み)方向で研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究成果をさらに洗練させ、英文化することで国外に発信したく考えている。本研究の初年度においては、台湾のAcademia Sinicaにおける国際シンポジウムで報告した研究成果があるため、それを本年度の日本語での研究成果を踏まえる形で統合・更新する予定である。また、日米欧三国貿易大臣会合など、新規の補助金規律に関する議論が様々な場面で展開されているため、これらも随時踏まえて研究分析を深め、成果を公表していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は見込んでいた国外の学会への参加や英語論文の校正費用等が生じなかったため、次年度に繰り越すこととした。2019年度で国際学会等に参加することができれば、そのための費用に充てたい。
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