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2019 Fiscal Year Research-status Report

フランス私法における権限濫用法理の生成と展開

Research Project

Project/Area Number 17K13645
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

高 秀成  大阪大学, 法学研究科, 准教授 (50598711)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2021-03-31
Keywords権限濫用法理 / 法の一般理論 / 授権規範 / 夫婦の財産管理権 / 権利論 / 債権概念 / 債権総論
Outline of Annual Research Achievements

令和元年度には、本研究の基盤となる調査であるフランス渡航を実現した。フランス渡航の際、Dubarry氏(現職、ドイツ・ザールラント大学)およびFlorent氏(現職、フランス・ソルボンヌ大学)へのインタヴューを実施した。
各インタヴューにおいては、Dubarry氏より一般法理としての私法上の権限濫用法理の構成に関する問題点と課題について示唆を得ることができた。また、Florent氏からは、公法学説も射程に収めた権限濫用法理の基礎理論に関する重要な示唆を得た。とりわけ、Florent氏からは、当該問題に関する基礎文献の提示を得て、これら文献をフランス滞在中に収集することができた。このなかでも、G. TusseauによるLes normes d’habilitationが本研究にとり、重要な視点を提供するものとなり、同論文を軸に、授権規範の構造からいかに権限濫用法理が導出されるのかに関しての分析に注力した。
その一方で、令和元年度においては、フランス滞在中に得た視点を元に、私法上の権利論なども踏まえて、権限濫用法理の基礎理論上の位置付けの検証を行った。これにより、権利論と債権をめぐる議論についても、本研究とのつながりを見出すことができた。加えて、Dubarry氏との議論を経て、一般法理として権限濫用法理の提示については慎重さが必要となることから、フランス私法において堅実な形で権限濫用法理を見出し得る領域の精査を行い、家族法分野(とりわけ、夫婦間の財産管理権)における権限分配と裁量統制の問題に着眼するに至った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

令和元年度においては、本研究遂行上の基軸であるフランス渡航を無事果たすことができ、そのなかでも、Dubarry氏(現職、ドイツ・ザールラント大学)およびFlorent氏(現職、フランス・ソルボンヌ大学)へのインタヴューを実施し、これにより重要な情報と示唆を得ることができた。そして、これらインタヴューを通じて、本研究について、一方においては、私法上の権利論への拡がりを有する視点を獲得できた。また、他方においては、私法上の権限濫用法理について、より具体的な実定法上の問題をもってアプローチする視点を得ることができた点も大きい。このように、問題の拡がりを得るとともに、焦点を絞った問題局面についても本研究の課題が明らかになった点で、おおむね順調に進展しているものと評価した。

Strategy for Future Research Activity

令和二年度には、令和元年度に得たフランス渡航中のインタヴューの成果および明らかになった課題、そしてこれまでに入手できた文献を踏まえて、本研究に関する成果をまとめていく作業が中心となる。そして、かかる成果は、①規範の階層構造を踏まえた権限濫用法理と私法理論の接合点、②権限濫用法理が問題となる実定法上の主要問題に関するものを予定している。その際、①は、本研究の当初の予定からもやや拡大されたテーマとなるため、まず②の問題を先行させることとする。具体的には、フランス民法典1421条の夫婦の財産管理権に対するフロードの規制が、主要テーマとなる。なお、1421条はこれまで数度の重要な改正を経たものであり、同条をめぐる判例理論の理解とその実定法的分析が問題となる。これらの基礎検討を踏まえて、権限濫用法理の接点およびフランス私法上の権限濫用法理の具体的在り方について提示することを目標とする。

Causes of Carryover

一つには、フランスにおけるインタヴューが奏功し、必要な文献を絞り込み、効率的に入手することができたことにより、当初予定していた冊数を一定程度減縮できた。また、令和元年度に入手を予定していた書籍の一部が古書のため、入手が適わず、令和二年度にも継続して入手を試みる必要が生じたため、次年度使用額を設定したものである。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 債権と債権総論2020

    • Author(s)
      髙秀成
    • Journal Title

      法学セミナー

      Volume: 784号 Pages: 24頁-30頁

URL: 

Published: 2021-01-27  

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