Theoretical Research on the Relationship Between the Impacts of Skill-Biased Technological Change on Labor Market and the System of Cities,

2019 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 17K13731
• Research Institution: Kagawa University
• Principal Investigator: 長町 康平 香川大学, 地域マネジメント研究科, 准教授 (10632284)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 空間経済学 / 都市システム

Outline of Annual Research Achievements

1. 汎用技術が都市システムに与える影響を分析するための解析的モデルを構築し、技術波及が各都市の人口や経済格差に与える影響について理論的に分析した。ある都市において汎用技術が導入されることで、都市の生活の質や企業の生産性が向上し、他の都市との人口・経済格差が生じ、この経済活動の偏在が技術導入の意思決定を行う企業のインセンティブに影響するような構造がモデルには組み込まれている。その上で、汎用技術の水準が外生で与えられる外生的技術進歩のベンチマーク・ケースと技術水準が研究開発により内生的に決定する内生的技術進歩の拡張ケースに分けて分析を行った。ベンチマーク・ケースにおいては、技術水準が低水準から高水準に変化するにつれて、都市間格差が全くない状態から拡大し、その後縮小、最終的には格差のない状態に戻るという「空間クズネッツ曲線」を再現した。拡張ケースでは、汎用技術の普及当初において、技術進歩と経済格差が互いに増強し合うプロセスが明らかになった。同時に、経済格差の存在は技術の普及を阻害する要因にもなり、汎用技術の技術的なポテンシャルが完全には実現しない可能性も示した。汎用技術の進歩についての空間経済学的な分析が十分に蓄積されていない中で、先行研究を補完する新しい視点を提供している点で本研究の意義がある。加えて、多数の都市や都市間人口移動と技術進歩・選択の相互作用といった複雑な設定にも関わらず解析的に扱えるモデルを開発した点も本研究の意義である。
2. 経済成長と共に構造変化が生じ、その過程でスキル偏向的な経済活動へのシフトが生じるメカニズムを取り入れた空間経済学的モデルを構築した。