2021 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical Analysis of Multinational Firms and Tax Competition
Project/Area Number |
17K13741
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
森田 忠士 近畿大学, 経済学部, 准教授 (50635175)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 賃金格差 / 多地域モデル / 多国籍企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、地域内の賃金格差と地域間の非熟練労働者の賃金格差に注目して分析を行った。この研究は、地域内の企業への法人税率の決定や所得税率の累進度合いなどを考えるうえで重要な基礎的な経済モデルになる。この経済モデルにおいて、輸送費用なしで取引できる財と輸送費用がかかる財の二つの財が存在し、地域間を自由に移動できる熟練労働者と地域間を移動できない非熟練労働者を考慮した。そして、熟練労働者は、熟練労働者と非熟練労働者の両方を雇い二つの財を生産する。このとき、地域間の輸送費用の減少やある地域のアメニティ水準の増加は地域内の熟練労働者と非熟練労働者との賃金格差にどのような影響を与えるのか、という問題に取り組んだ。 多数の地域があり、そのうちのある二つの地域間の輸送費用が減少すると、輸送費用が下がった地域の賃金格差は縮小し、それ以外の地域での賃金格差は拡大することが分かった。熟練労働者にとって、輸送費用が下がった地域に住むことにより、他地域への販売が増え利潤が増えることになる。その結果、多くの熟練労働者がこれらの地域に居住することになり、非熟練労働者への労働需要が増加する。その結果、非熟練労働者の賃金が上昇し、賃金格差が縮小する。次に、ある地域のアメニティ水準が上昇したとする。その結果、その地域の賃金格差は縮小し、他の地域の賃金格差は拡大することが分かった。アメニティ水準が高い地域に居住する熟練労働者の数が多くなり、その結果非熟練労働者の労働需要が多くなる。その結果その地域の賃金格差は縮小する。それ以外の地域では、熟練労働者の数が減少し、非熟練労働者への労働需要が縮小することになる。したがって、非熟練労働者の賃金が減少し、賃金格差が拡大することになる。
|
Research Products
(2 results)