2017 Fiscal Year Research-status Report
東南アジア都市における工業団地労働者の地域・階層移動研究
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17K13838
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Research Institution | Iwate University of Health and Medical Sciences |
Principal Investigator |
大井 慈郎 岩手保健医療大学, 看護学部, 講師 (10757959)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 東南アジア都市化 / 都市社会学 / 人口移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インドネシアの首都圏における非正規労働者の地域と階層移動パターンの分析から、東南アジア首都の人口移動メカニズムを解明することにある。本研究では、インドネシア首都ジャカルタを事例に、2010年代よりインドネシアの労働問題の中心となっている非正規労働者に着目する。 具体的な調査内容としては、第一に、労働者の移動の前提となる工業団地や新興住宅地の分布を把握するため、インドネシア国土庁に開示請求を行い、ジャカルタ首都圏各市・県の土地利用についてのGISデータの提供を受け、その分析を試みた。しかしながら州によって改訂年がまちまちであり、最新のものでも2014年までしかないこと、州によってGISデータの土地利用カテゴリーが統一でないことがわかった。同庁土地利用局に聞き取りを行った結果、カテゴリーの統一は現在進行形で取り組んでいる課題であり、現状として土地利用データを用いるならば、州をまたいで比較するのは避けた方がいいことが明らかになった。この結果を受け、30年度に実施を予定している工業団地周辺地域調査は、これまで報告者が実施してきた調査との比較の観点から、ブカシ県内の特徴ある別の地域にて行う方が良いとの結論に至った。これらを踏まえ、該当する地域のリストアップを行ったが、調査許可取得の問題から、29年度中に現地視察を行うことがかなわなかった。 第二に、工場調査に関する現地ヒューマンリソース会社との調査打ち合わせについては、実施することができなかった。 いずれの調査においても合同で調査を行う現地大学とは、スケジュール調整をはじめとした打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
インドネシア政府が発給する調査許可及び在留資格のルール変更に伴い、資格取得に時間を要した。それによりに予定していたスケジュールが半年ほど遅れてしまったため。 現地企業の調査協力予定者が、人事異動により協力できなくなった。他の研究協力者と協力して調査準備を進めているが、当初の予定よりは進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き住民の移動を観測する地域を増やしていくことで、非正規労働者の地域と階層移動パターンの一般化を試みる。29年度中に、ブカシ県内の調査候補地のリストアップを行った。これを受けて、30年度前期中に現地視察を行い、役場への調査協力依頼を行う。調査は、1つの村のなかから工業団地造成以前から続く集落地区と新興住宅地区があるそれぞれの連合町内会をサンプリングする予定である。しかしながら地区の境界をマッピングした正確な地図がないため、地区長に照会しながらGPSを用いて境界のマッピングを行う。この予備調査を元に、現地の大学と協力して戸別訪問調査を行う。調査に用いる質問紙に関しては、報告者が2016年度に行った調査のものをベースにする。これにより、地域間の比較が可能となる。 併行して、調査協力企業探しを行う。報告者はこれまでの研究のなかで、複数のヒューマンリソース会社から現地情報や分析に際してのアドバイスを受けている。こうした会社に協力を依頼し、ブカシ県内にある企業の選定と協力依頼の準備をすでに行っている。協力企業が見つかり次第、平成31年度調査に向けて、適宜準備を行う。
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Causes of Carryover |
インドネシア政府の調査許可に関する手続きが変更し、より厳格になった。これによって調査許可取得に予想以上の時間を要し、当初の予定通りに現地視察を行うことができなかった。次年度使用額は、当初の予定通り、現地視察の旅費とアシスタントへの謝金に当てる。 調査地決定後は、現地の大学生のべ60人とともに戸別訪問調査を行う。30年度分助成金はインドネシア旅費、戸別訪問調査諸経費と調査員への謝金、データ入力に伴う謝金に多くを用いる。
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