2021 Fiscal Year Research-status Report
An investigation into community transition requirements for persons with severe disabilities.
Project/Area Number |
17K13879
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Research Institution | Niimi College |
Principal Investigator |
松田 実樹 新見公立大学, 健康科学部, 講師 (60635548)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域 / 障害者 / グループホーム / 医療的ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、重度障害者の地域移行を成立させる要件を検討することを目指し、グループホームにおける医療的ケア実施上の問題点と課題を明らかにすることとしている。 2021年度は、2020年度に実施した本調査の分析を行い、特に支援実施の影響要因として何があるか、そしてその影響要因と支援状況との関連について明らかにした。 結果、医療的ケアが必要な方への支援実施の影響要因として、①ケアをトータルマネジメントできる職員がいない②人材が不足している③人材育成できる環境が整っている④訓練等給付内でサービスを提供すること⑤支援者が利用者の意思を代替決定すること⑥利用者と利用者家族との関係が入居後もつながっていること⑦職員の人員配置のあり方⑧障害福祉サービス等報酬加算の額の7つの要因が抽出された。 そのうち、②人材が不足している④訓練等給付内でサービスを提供すること⑦職員の人員配置のあり方の3つの要因と、支援可否との間に弱い相関があることが示された。今回アンケート調査に回答した事業所の職種別の過不足については、半数以上が「適当である」と答えていたものの、結果として人員不足や職員の人員配置のあり方と支援可否との間に関連がみられたということについては、配置が必須とされている職種が担うべき業務外の支援が必要なケースが出てきた場合、その対応が困難となり結果的に支援実施の可否に影響したという可能性が充分に考えられた。また、訓練等給付内でサービスを提供することと支援可否の間に関連がみられたことについても、グループホームを利用する方の重度化や多様化といった側面から、地域での暮らしを支える生活の場として求められる機能が制度スタート当初よりも多くなったことが影響していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画していた面接可能な事業所へのインタビューについては感染症の影響等により実施が困難な状況となり、予定を変更して研究の遂行をしている。 ただし、既に必要な調査、データの入力は終えており、現在最終の分析を行っていることから、やや遅れていると判断、評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
既に入力が終わっているデータについて精査を行い、引き続き分析を進める。 今回の調査結果から、事業所の努力だけでは解決が難しい「専門職の数と配置の問題」や「サービス給付範囲の問題」といった事柄も影響要因として挙げられていたが、少ないながらも継続して医療的ケアの必要な障害者を支援し続けることができると回答した事業所も存在していた。そのことから、今回の研究によって支援可否との関連が認められた3要因について事業所の経営戦略や、職員配置上の工夫などの取り組み事例を整理していくことで、医療的ケアが必要な障害者の地域生活支援策を提示できる可能性があると考える。
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Causes of Carryover |
研究遂行に変更が生じたため、面接調査実施に関する旅費の費用が使用されず、2021年度は主に研究成果の発表のために交付金の使用をした。2022年度は報告書の作成などで使用予定である。
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