2018 Fiscal Year Research-status Report
地域包括ケアシステムにおける多職種連携の方法と効果に関する研究
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17K13882
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
河野 高志 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (50647237)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多職種連携 / 地域包括ケアシステム / ケアマネジメント / インタープロフェッショナルワーク / ソーシャルワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
全国の地域包括支援センター(5,060か所)に所属する社会福祉士・主任介護支援専門員を対象に、多職種連携についてのアンケート調査を実施した。宛先不明7か所を除く5,053か所から1,567件の回答を得た(回収率31.0%)。調査内容は、対象者と地域包括支援センターの基本属性、ケアマネジメントの実施状況、インタープロフェッショナルワークの実施状況、連携の内容、連携の状態で構成した。分析では、回収した1,567名のデータを使用し、主成分分析による連携の要因の抽出と重回帰分析による要因間の関連の検討を行った。その結果、地域包括ケアシステムにおける多職種連携の促進には【チームワークの促進】が最も影響を与え、【チームワークの促進】には【IPW(インタープロフェッショナルワーク)】が最も影響を与えるという関連を明らかにした。研究成果は学術論文として日本社会福祉学会の機関誌『社会福祉学』に投稿し、採択された(2019年5月発行予定)。これらの研究成果は、地域包括ケアシステムにおける多職種連携の方法を検討するうえで重要な促進要因を明らかにしたという点で意義がある。また、多職種連携の状態を示す指標も提示できたことから、連携状態の評価に用いることができる可能性もある。この点でも本研究の目的に即した結果を得ることができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査から多職種連携の促進要因と連携状態を示す指標を明らかにすることができ、本研究の目的である多職種連携の方法の検討は概ね達成できた。また、多職種連携の評価についても、連携状態を示す指標を明らかにできた。一方で、それらの詳細を検証するためのインタビュー調査については未実施であるが、アンケート調査の自由記述において地域包括ケアシステムの構築に必要な取り組みに関する回答を887件回収しており、これを質的に分析することでインタビュー調査に代えることも検討できる。このことから、本研究は当初予定していた目的のほとんどを達成しており、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査における自由記述部分の質的分析を行い、多職種連携の促進に必要な取り組みをさらに明らかにしたい。また、それによって十分な結果が得られないようであれば、インタビュー調査の実施により多職種連携の方法の検討を深化させたい。そして最終的な成果については、学術論文や研究発表等により公表したい。
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Causes of Carryover |
当該年度に実施した全国の地域包括支援センターへのアンケート調査の分析にあたり、自由記述部分の回答が想定していたより充実したものであったため、インタビュー調査に代えて自由記述の分析に必要なソフト等の購入やアルバイトの雇用を行った。それにより、インタビュー調査の実施のために計上していた予算との差額が生じ、次年度使用額が発生した。この次年度使用額は、当初予定していた研究成果の公表を充実させるために使用することを計画している。また、自由記述部分の分析結果によってはインタビュー調査を実施することも検討しているため、その予算として執行することも選択肢として計画している。
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