2017 Fiscal Year Research-status Report
2過程モデルによる外集団先制攻撃の心理メカニズムの解明
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17K13903
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
三船 恒裕 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 准教授 (00708050)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 内集団バイアス / 内集団ひいき / 先制攻撃 / 最小条件集団 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究全体の目標は外集団に対する先制攻撃行動が生じる心理メカニズムを探ることにある。平成29年度は「相手の攻撃力が自分の攻撃力よりも高い場合に、内集団に対するよりも外集団に対する先制攻撃率が増える」という、先行研究の結果が再現されるかを検証した。さらに、「相手は内集団か外集団かわからない」という不明条件も配置することで、不明条件よりも外集団攻撃率が高まるのか、不明条件よりも内集団攻撃率が低まるのか、あるいはその両方が生じるのかも同時に検討した。54人を参加者とし、最小条件集団を用いて2つの集団に分類し、内集団・外集団・不明集団の相手に対して、自分よりも相手の方が攻撃力が高い場合、相手よりも自分の方が攻撃力が高い場合の6条件それぞれ1回ずつの先制攻撃ゲームを行った。各回のゲームの結果はフィードバックしなかった。実験の結果、予測された攻撃率の差が見られなかった。これは条件を参加者内配置とし、ゲームの進行が早すぎたことやフィードバックがなかったことなどにより、一貫反応が多かったためと考えられる。事実、約60%の参加者が全て攻撃しないか全て攻撃すると反応していた。平成30年度はこの点を克服した実験を行う予定である。 平成29年度はさらに、山岸教授らと共に、新しく集団間先制攻撃ゲームの開発に着手した。外集団への攻撃行動を予測する進化理論のひとつである共進化モデル(Choi & Bowles, 2007)に基づけば、「相手の集団に勝つことで自集団が利益を得る」という状況での外集団攻撃行動を測定すべきである可能性上がる。そこで、二つの集団間で先制攻撃ゲームを行い、ボタンを押した人数によって勝敗が決まるゲームを開発した。このゲームを用いた実験も平成30年度に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は当初の予定通り、攻撃力のバランスを操作し、「相手がどちらの集団かわからない」という条件を含めた先制攻撃ゲーム実験を実施した。これは要因を参加者内配置して実施されたが、当初の予定では参加者間配置した実験も実施する予定であった。この参加者間配置実験に関しては実施することができなかったが、新しく集団間で先制攻撃ゲームをする実験パラダイムを開発した。これは当初予定していた実験計画には含まれていないものだが、外集団への先制攻撃行動の心理メカニズムを明らかにする上で重要な実験パラダイムになると考えられる。また、外集団に対する攻撃行動と相関すると予測される個人差特性として社会的支配志向性をあげることができるが、これに関して複数の研究結果から海外の先行研究と同様、外集団(他国)への差別的態度が予測されるというデータを査読付き雑誌に投稿した。したがって、総じて評価するならば、概ね順調に進展していると言えるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を推進する上での課題のひとつは、代表者が所属する大学の在籍学生がそれほど多くないため、単年度内に複数の実験を実施するのが難しいという問題である。今後は外部の大学に所属する研究者との交流を深め、共同研究として実施していく可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
実験の実施に注力したため、予定よりも旅費が少なくなったため。
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Research Products
(3 results)