2017 Fiscal Year Research-status Report
「家族」における養育行動の機能性と適応的意義:進化心理学的検討
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17K13921
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川本 哲也 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (40794897)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 養育行動 / 家族 / 父親 / パーソナリティ / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は家族内における養育行動と,それが子どもの発達に与える影響を検討するための調査を計画・実施した。養育行動については,海外の研究者と連携し,欧米圏で用いられている養育投資尺度 (parental effort scale) を日本語に翻訳し,それをバックトランスレーションして原著者であるアリゾナ州立大学のFigueredo教授・Cabeza de Baca博士と訳をすり合わせる手続きを行った。 縦断調査については,慶應義塾大学ふたご行動発達研究の首都圏ふたごプロジェクト (ToTCoP) レジストリを対象にした調査票を作成し,双生児とその両親を対象とした家族単位での第一時点調査を行った。約1500件ほどの調査参加依頼に対し,約750件ほどの家庭が調査参加を承諾し,年度末までに700件弱の家庭から調査票の回収ができている。 論文・学会発表等については,養育行動に関連するパーソナリティと道徳的価値観の関連を実証的に検討した論文を発表することができた。この論文では,一般パーソナリティ因子と道徳的価値観が関連しないという結果を明らかにした。現在,この一般パーソナリティ因子の発達的な起源に関する分析結果をまとめた論文を投稿している途中である。その他,関連する学会発表も複数回行った。 総じて,今年度の研究はほぼ予定通りに終えることができたといえる。予定していた縦断調査については本年度無事に一時点目の調査を終了し,次の時点へとつなげることができた。また共同研究についても研究者と連携をとりながら研究を進展することに成功した。論文化については現在準備中や投稿中のものが複数あるため,今後に向けて着実に研究は進展したと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は初年度ということもあり,調査の計画・実施やその調査で用いる測定尺度の標準化の作業に多くの時間を割くこととなった。そのため,調査は順調なスタートを切り,回収率も比較的高く,次年度以降の分析・論文化にとって有用なデータの収集ができた。 また研究結果の発表についても,論文・学会発表と予定通りの発表ができたため,進捗としては順調と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
父親による養育行動が子どもの発達に与える影響を検討するため,本年度に実施した調査のデータを入力し,分析可能な状態にする。そのうえでデータ解析をし,学会発表や学術誌への投稿を行っていく。 また,この調査は縦断調査となっているため,2時点目の準備も併せて行っていく。具体的には調査票の作成や印刷会社等の選定,スケジュールの管理などを次年度中に行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究課題において実施した縦断調査において,当初の計画では調査票の回収とデータ入力までを本年度中に実施する予定であったが,調査実施が所属機関における倫理審査のスケジュールのために2か月ほど遅れてしまった。そのためデータの入力のみ次年度に行うこととなってしまったため,次年度使用額が生じた。 次年度は,この金額は予定通りデータの入力に充てることになる。また今回の調査は予想を上回る回収率で入力するデータも予想以上のものとなった。そこで翌年度分として請求していた助成金は一部をデータ入力費として充当し,その他研究成果の発表に係わる旅費や等に充当する。
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Research Products
(14 results)