2019 Fiscal Year Annual Research Report
An examination of the disproportionality hypothesis between the efficiency of long-term memory and the flexibility of working memory in anxiety cognition
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17K13949
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
上田 紋佳 岡山大学, 教育学研究科, 特任助教 (60707553)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 不安症 / 記憶バイアス / ワーキングメモリ |
Outline of Annual Research Achievements |
不安症におけるネガティブな思考を抑制できないという特徴の背後には,長期記憶とワーキングメモリの機能不全があることが指摘されている。しかしながら,先行研究においては,両者の相対的関係性がどのように症状につながるのかといった観点から,検討されることはなかったが,本研究では,両者の関係性について実験的検討を行った。長期記憶バイアスとワーキングメモリの機能不全の関係性を検討することが可能な実験課題として,修正版スタンバーグ課題(modified Sternberg task; Oberauer, 2001;玉木・内藤,2018)を採用し,個別実験を行った。この課題は,課題に無関連な情報がワーキングメモリ内から排除され,その後も長期記憶として活性化されている過程を反映することができるとされている。 個別実験の結果,特性不安が高いほど,課題無関連刺激がワーキングメモリ外へ排除された後の長期記憶の活性化が保持されやすい傾向がみられた。一方,抑うつが高いほど,長期記憶の活性化が保持されにくいという逆の結果が得られた。この結果は,不安と抑うつの合併・共存を考慮して,不安症の記憶バイアスとワーキングメモリの機能不全を検討する必要性を示すものといえる。 今後は,修正版スタンバーグ課題の課題の簡素化など,実験課題の改善を行い,さらに,長期記憶とワーキングメモリを共通の枠組みで説明することが可能なCowan(1995, 1999)やOberauer(2009)のモデルの視点から,不安症の記憶モデルについてさらなる検討が必要である。
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Research Products
(5 results)