2019 Fiscal Year Research-status Report
学校参加の条件となる保護者意識の形成過程に関する研究
| Project/Area Number |
17K13979
|
|---|
| Research Institution | Mie University |
|---|
Principal Investigator |
大日方 真史 三重大学, 教育学部, 准教授 (00712613)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
| Keywords | 保護者参加 / 学校参加 / 私的関心 / 保護者間関係 / 保護者間ネットワーク / 共通関心 / 教師の専門性 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
前年度までのインタビュー調査で得られ、分析が未完であったデータの分析を終え、考察を加えて論文にまとめた。対象は、調査協力者がその重要な担い手となっている、保護者間においてネットワークが自発的に形成される事例である。形成の途上を含め複数回実施したインタビューによって、事例の活動がいかなる過程をたどり、その過程において当の主体においていかなる意識が保持・形成されてきたのかを追求した。この追求は、保護者の有する社会的なネットワークが当の保護者の学校関与に影響を及ぼすという先行研究に基づいている。また、近年、保護者間においてソーシャルネットワーキングサービス等を通じて関係・ネットワークが形成されてきているという事実、その関係が私的な性質を有するがゆえ、排他的あるいは抑圧的になる懸念があるといった問題意識にも基づいている。
したがって、論文では、対象事例であるネットワーク形成の活動が、公的な性質をいかに追求しているかを捉える視点を設定した。これは、保護者の学校参加に向けて、保護者の私的関心の問題に着目してきたこれまでの本研究課題における視点を展開させたものでもある。論文の考察としては、それぞれの保護者の有する困難や悩みに着目する意義、公的な性質（の追求）が関係・ネットワーク形成過程に寄与するという意義、保護者が自発的にネットワークを形成しようとする活動に学校がいかに関与するかという課題、担い手の負担への対応という課題を指摘した。これら諸点は、保護者間における社会関係資本の格差の問題に取り組むうえでも重要である。
以上に加えて、当該年度には、保護者の学校参加に関する新たな分析にも着手した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発展的な課題に取り組み、これまで得ていた調査データを分析し成果として結実させ得たため。
|
| Strategy for Future Research Activity |
着手中の新たな分析・考察をまとめる。
|
| Causes of Carryover |
これまでに得られた調査データの分析を主たる研究活動とし、当初予定の諸活動に要する経費分が抑制されたため。翌年度予定の出張を伴う調査で使用する計画である。
|
