2017 Fiscal Year Research-status Report
高機能自閉スペクトラム症者の職場定着を支える組織風土および環境的要因の検討
Project/Area Number |
17K14068
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
大嶋 玲未 立教大学, 大学教育開発・支援センター, 助教 (50755684)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 職場定着 / 組織風土 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、知的発達の遅れを伴わない高機能自閉スペクトラム症(autism-spectrum disorders: ASD)の就労者が定着しやすい職場の組織風土や、そうした組織に共通する特徴について明らかにすることである。それに基づき就労支援者・団体がジョブマッチングや介入時に企業組織について特に注意してアセスメントすべきポイントや、企業組織が自社の雇用管理上の課題を分析する際のポイントを提示し、安定した障害者雇用の促進に寄与することを目指している。 初年度にあたる平成29年度は、発達障がい者の就職サポートを行う複数の就労移行支援事業所で観察調査、ヒアリングを行なった。就労経験のある当事者、就労移行支援に関して豊富な経験をもつ就労移行支援員へのヒアリングから、高機能ASD者が就職後順調に定着する企業と、そうでない企業に共通する特徴についての示唆を得た。これらの結果と文献調査を踏まえ、インタビューガイドを作成した。 インタビューの準備が整ったことから、平成30年より、高機能ASD者を受け入れ、職場定着に関して成果をあげている企業(目安として、勤続年数3年以上の高機能ASD者が勤務する企業)において、勤続年数3年以上(目安)の診断のある高機能ASD者及び、その直接の指導に当たっている上司を対象にインタビューを開始している。成果報告としては、発達障害シンポジウム2018(「敏感さ、鈍感さってなあに?ー個性的な感覚と共に生きる社会ー」)に登壇し、発達障がいをもつ就労者が働きやすい職場環境の整備について、登壇者、フロアと議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
就労移行支援所における観察調査、ヒアリングを通じて、高機能ASD者の就労上の課題について把握するとともに、高機能ASD者が就職後順調に定着する企業と、そうでない企業の特徴についての示唆を得た。これらに基づきインタビューガイドを完成させたのち、研究協力者や関係者より高機能ASD者の職場定着に関して成果をあげている企業の紹介を受け、インタビュー調査を開始している。以上のことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度にはインタビューを完了させ、学会発表等の成果報告の準備を行う。 また、平成31年度に予定している質問紙調査の実施に向けて調査項目の選定、調査実施先の調整等の準備を行う。
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Causes of Carryover |
平成29年度の未使用額についてはインタビュー調査、質問紙調査の調整・実施のために、平成30年度分と合わせて使用する。
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