2022 Fiscal Year Annual Research Report
An Examination of Organizational Climate and Environmental Factors Supporting Workplace Retention of Individuals with High Functioning Autism Spectrum Disorders
Project/Area Number |
17K14068
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
大嶋 玲未 目白大学, 心理学部, 専任講師 (50755684)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 職場定着 / 組織風土 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の民間企業で雇用される障がい者数は年々増加を続けているが,精神・発達障がい者では身体障がい者や知的障がい者と比較して早期離職する傾向にあり,職場定着が課題である。本研究では特に自閉スペクトラム症(ASD)者に注目し,就労者が定着しやすい職場の特徴(組織風土,環境的要因)を質的・量的研究から検討することを目的とした。 本研究課題の主な成果として,1) 高機能ASD者が職場定着する企業の組織風土と取り組みを明らかにすることを目的に行ったインタビュー調査の結果から,高機能ASD者が定着傾向にある職場には“チェンジエージェント”といえる人物や部署が存在し,定着に寄与する組織風土はそうした人物らが中心となり雇用や定着支援を推進することで醸成されていくこと,また,そうした風土を根付かせる背景には柔軟な組織基盤や,組織成員の面倒見の良さといった特徴がみられることが示された。また,2) 組織風土が障がい者雇用を行う企業の従業員の心理に及ぼす影響について検討したところ,管理職のインクルーシブ・リーダーシップが「障がい者登用」と「障がい者優位」の組織風土を媒介することで,障がいのある従業員の職場継続意図を高めること等が明らかになった。しかし,調査に用いた組織風土(障がいダイバーシティ風土)尺度の信頼性が十分ではなく,また妥当性の検証も必要であると考えられた。そのため,3) 縦断調査により障がいダイバーシティ風土尺度の信頼性と妥当性について検証した。まず,探索的因子分析の結果,因子構造については新たに2因子構造が示された。先行研究とは異なる結果ではあったが,より妥当な結果が得られた。信頼性については,内的整合性について十分な値が得られ,再検査信頼性も許容される値が得られた。最後に,妥当性については,概ね想定通りの基準関連妥当性と予測的妥当性を示す結果が得られた。
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