2018 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of detailed structures in the planet-forming region by high-resolution and high-sensitivity submillimeter observations
Project/Area Number |
17K14244
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
塚越 崇 国立天文台, 電波研究部, 特任助教 (20533566)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電波天文学 / 惑星系形成 / 原始惑星系円盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画Aにおいては、H29年度の観測データの一部を用いて見出された、原始惑星系円盤内の局所的なミリ波放射の発見について、成果をまとめ論文を投稿した。この構造は、形成中の惑星を取りまく周惑星円盤に関連した構造だと思われ、初めての検出例となる極めて重要な成果である。また、その他多波長観測データの解析も進め、より解像度および精度の高いダストサイズ分布の示唆を得ることに成功した。 研究計画Bでは、H29年度に取得したデータの解釈と論文化を進め、化学モデル計算との比較を進めた。円盤内縁部のダストにより、中心星からの紫外線照射が影響を受けることで、複雑な分子分布が解釈可能であることがわかった。結果については論文化に向けての議論を進めている。 研究計画Cでは、放射輸送計算ツール(RADMC)の理解と応用を進め、複雑な円盤モデルの構築と観測データの再現を行っており、実際にそれを利用した論文を出版することができている。 研究計画Dは、その一部が実行されデータ解析(画像作成)を完了した。当初の電波散乱による偏光と思われる成分が見えつつあるが、感度不足のため結論を得るためには追加データが必要である。一方、ALMAを用いた偏光観測のデータ解析手法や、多様な視点から結果の解釈を行う目的で、様々な天体に対する円盤偏光観測を行なっており、いくつかの結果を論文として出版している。 疎性モデリングを応用したイメージ合成(研究計画E)については、画像生成アルゴリズムがALMAデータ解析ソフトCASAに実装され、それのコミッションニングを通して開発/応用を進めてきた。原始惑星系円盤への応用を進め、その成果に関しては間も無く論文投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度に取得したデータの解析(画像作成)は終了しており、その一部については30年度において論文として投稿した。その他のデータについても詳細な解析に取り掛かっており、多波長観測データを用いた、より解像度および精度の高いダストサイズ分布の示唆を得ることに成功している。この結果については現在論文化を進めている。 研究計画A,Bをベースに、30年度に行なった複数の観測提案は、受理はされたものの観測実行に至っておらず、31年度のALMA観測フェーズ(サイクル7)へ再度観測提案を行なった。電波偏光による観測(研究計画D)は一部のみが実行され、簡易的な画像作成は完了している。それを元に、より詳細な解析に向けての検討・議論を進めている。しかしながらデータの不足が否めず、こちらも31年度のALMA観測フェーズ(サイクル7)へ再度観測提案を行なった。 疎性モデリングを応用したイメージ合成(研究計画E)では、画像生成アルゴリズムがALMAデータ解析ソフトCASAに実装されている。研究課題のターゲットに対してもすでに応用を試みており、サイエンス・コミッションニングを通して開発/応用を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね予定通り研究計画を進めつつあり、これまでの観測結果をベースにした円盤構造のモデル化と、放射輸送計算を用いた円盤構造の包括的理解を目指す。現在まで得られた成果に対する科学的重要度を鑑みて、さらなるALMA観測への観測提案や、赤外線による観測提案なども適宜推進していく。これまでに受理されたALMA観測において、部分的にしか実行されていない不足データ分については、次フェーズへの観測提案を行なう。それと同時に、その不足データを用いての解析や解釈は進めることが可能なため、論文化も含めて今後検討を行う。疎性モデリングによる画像作成法については、コミッションニングベースの開発が進み始めたため、円盤モデル等を用いた様々な視点でのコミッションニングを行うとともに、本研究課題のターゲット天体に対しても応用を行い、論文化を目指す。
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Research Products
(15 results)