2017 Fiscal Year Research-status Report
ニュートリノ観測による核廃棄物遠隔モニタリングシステムの構築
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17K14279
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中島 恭平 福井大学, 学術研究院工学系部門, 特命助教 (30722540)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 核廃棄物 / 高レベル放射性廃棄物 / ニュートリノ |
Outline of Annual Research Achievements |
原子炉では使用済核燃料から高レベル放射性廃棄物が発生し、これを地下数100m以下に埋設する地層処分が検討されている。本研究はこの放射性廃棄物が地下に安定的に保管されていることを、それから発生するニュートリノ観測の統計的変動を捉えることで遠隔からモニターしようという試みである。 本年度では、核廃棄物から発生するニュートリノフラックスの計算を行った。核廃棄物中の構成原子核を時系列順に調べ、その中でニュートリノを発生する核種を特定した。それぞれの核種から発生するニュートリノをエネルギー事に足し合わせることニュートリノフラックスを求め、特にニュートリノの検出反応である逆ベータ崩壊の閾値1.8MeV以上の核種からのニュートリノを求め、100m離れた位置にある検出器でどの程度の統計量が得られるかを試算した。 この結果を原子力学会にて報告を行い、また本研究の検出器と共通点が多い原子炉ニュートリノモニター実験について、国際会議に参加して発表および情報収集を行った。 今後は基礎的な検出器の開発に進む予定であり、環境放射線測定やバックグラウンドを減らすための工夫が可能な装置の作成を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたニュートリノフラックスの計算を順調に進めており、廃棄物由来のニュートリノフラックスを求めることに成功した。また原子力学会や国際会議での発表も行っており、計画通りに研究が進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
核廃棄物から発生するニュートリノは逆ベータ崩壊反応で求めるが、実際に地下数100mで測定を行う場合は環境放射線との戦いになる。今後は小型の検出器の開発を進め、ガンマ線や中性子、宇宙線ミューオンを減らす工夫を凝らしたものを開発する予定である。検出器ターゲットである液体シンチレーターや固体のプラスチックシンチレータそれぞれの開発を検討している。
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Causes of Carryover |
検出器開発を次年度より本格的に行うこととしため、使用予定額の一部を次年度に回すこととした。
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